CD-R/RW って便利ですね。CD-ROM ドライブのついているパソコンなんて珍しくもなんともないし、大きなデータの移動にはもってこい。と思ってたら、なんでお前は DirectCD で作ったやつをそのまま持ってくんだよ!
今どき(2001年末)、CD-ROM の読める環境が全然ないパソコンユーザーっちゅーのはかなり珍しいでしょう。(高速インターネット回線とフリー UNIX だけで全部片付くからそんなもんいらん、て人もいるかもしれませんが、それはかなり無茶苦茶に稀な例でしょう。)
ということは大きなデータを人に渡す場合、このメディアが最も確実と言えます。かつては MO や Zip なんかが出回っていましたし、実際、早い時期にこれらのメディアを採用した業界ではこうしたドライブとメディアを活用していますが、新たにパソコンを買う人がこうしたドライブをわざわざ買うことはなかなかないでしょうし、DVD はまだ安定した R 環境が出始めたばかりなので、普通の人にはなかなか難しいものがあります。
それに、今、新製品でパソコンを買ったらかなりの確立で CD-R / CD-RW ドライブが搭載されているし、以前は Illustrator や Premiere 並みに高かった外付けの CD-RW ドライブをあとから買ってもかなり安く済んでしまいます。CD-R は信じられないくらいに身近になりました。
やっぱ CD 使うっしょ。
さて、自分で CD が作れるらしいこいつら、どうもフロッピーやハードディスクのようには手軽には使えず、専用のソフトがいるらしい。おまけに音楽 CD とかビデオ CD とかいろいろ種類があって面倒くさそう。
そうです。はっきり言ってこいつらはハードディスクや MO なんかとは違います。
MO やハードディスク、ましてフロッピーディスクなんかはきちんとコンピュータがセットアップされているなら、電源さえ入っていれば使えます。でも、CD-R 関係は基本的には特定のアプリが動いていないと使えないのです。ま、要するに一手間、二手間、余計に掛かるんですわ。そこが面倒くさそうなところです。
あと、種類が多そう。うん、確かに。R なんか RW なんか、何用のフォーマットなんかね。うちでは読めるけど、あいつんとこでは読めないってどういうことなん!と。だから Mac はきらいなんだよ、みたいなね。
じゃまずは R と RW の違いから。
最近普及しているドライブは多くが CD-R と RW の兼用になっています。R は Recordable の略、RW は ReWritable の略で、一回こっきりか何回でもやり直しが利くかの違いがあります。もっと大きな違いは、R で作った CD は CD-ROM(R/RW じゃなくて ROM)ドライブを搭載しただいたいどのパソコンでも、またどの CD プレイヤーでも(音楽 CD として作った場合は)使えますが、RW で作った CD は読めないかもしんない、ってとこです。最近は CD-R/RW ドライブが標準でついてくることが多いので、そういう人たちの間では困らないですけど、RW ってやつは普通の CD とは違います。
RW のドライブもメディア*1もずいぶん安くなってきたので、これから始める人は純粋な R 環境はなかなか手に入らないかもしれないですけど、RW は自分の作ったデータをみんなに見てほしい場合には向かないし、ともすると自分のデータのバックアップにも向かない*2と言えます。RW の方がメディアが無駄にならないと思うかもしれませんが、確実に読めると言い切れないメディアじゃちょっと怖いと思うのですが、どうでしょう。
そういうわけでここでは CD-R を推します。これがいちばん自分にもみんなにも嬉しい選択です。だれだ、Direct CD*3で作った CD を渡して平気な顔してるやつわ! そんなの読めねーんだよ!
ところで CD には各プラットフォームごとに異なるフォーマットがあります。フロッピーもハードディスクもそうなんですが、残念ながら CD も Windows は Windows 用、Mac は Mac 用なんです。上のようなみんなに嬉しいって理由で CD-R を選んでいるのにそんなこと言われたらちょっとたまりません。実は、何も考えずに CD を作っちゃいけないのです。
でもそれも解決できます。それが ISO9660 というフォーマットです。
実際には ISO9660 を厳密にサポートしているライティングソフト*4ってコンシューマレベルでは聞いたことないんですけど、少なくとも ISO9660 level 1 のモードはたいていあります。これは MS-DOS でも読み込み可能な最も広範囲で通用するフォーマットです。*5とにかく ISO9660 ならまず間違いなく読める、と覚えておいてください。困ったときは ISO9660 だ、くらいで。
TOWNSとかどうなっているのか、ほとんど使ったことがないので(実はちょっと使っていたんだけど)分かりませんが、Windows も動くらしいし、PC/AT系の設計だから大丈夫、と判断します。
さっきから出てくる ISO9660 ってつまりなんなの、って感じですが、これは CD-ROM に関するファイルシステムとその周辺のお約束のことです。細かい話は「Orange Forum:ISO 9660ファイルシステム」、、、はなくなってしまいました。まぁ要するに ISO9660 の方が特殊な機能が入っていない分、いろんなところで読めるよ、ということです。
さて、なんとなく分かったところで ISO9660 の CD を実際に作るにはどうしたらよいでしょう?
まずはそのお約束を知らんとあきません。「ISO 9660 CD-ROMファイルシステムの概要」や「CD-R専門辞書」などに詳しいのですが、早い話が自分の使っている OS で許可されているよりもファイル名、フォルダ名、フォルダ階層の制限が厳しい、というところに集約されます。
例えば具体的に各プラットフォームでのファイル名の制限は
長さ | フォルダ区切り | 空白 | ワイルドカード | 日本語 | |
---|---|---|---|---|---|
UNIX | よく分からない(^^; | / | だめ | *, ?, {, }, とか | 普通はだめ*6 |
Windows | フルパス*7で255文字まで | \ | オッケー | ?, * | オッケー |
MacOS | ファイル一つにつき31文字(255文字)*8まで | : | オッケー | なにそれ? | オッケー |
MS-DOS | ファイル名8文字+拡張子3文字 | \ | だめ | ?, * | オッケー |
システムとしてはほとんどの場合日本語の名前でファイルを保存することは可能だと思います。問題は周辺のツールとその設定の方です。
*7(DOS/Windowsの場合)ドライブ名から始まって、フォルダの名前、ファイルの名前をすべて記述したもの。絶対パスと同義。例えば c:\usr\bin\perl.exe はフルパス。カタカナだと分かりにくいですが、bus でも bath でもありません。path です。
*8HFS は 31文字まで。PPC + OS 8 以降サポートの HFS+ は 255文字まで。ただしこれはファイルシステムレベルの話で、まともに 255文字をサポートしたのは OS 9 から。しかし Finder を含む(!)ほとんどのアプリは 31文字までなので、実質的には変わらない。OS X でなら 255文字までフルに使えるが、互換性を考慮して 31 文字までのアプリもある。
このようになっていますが(割とテキトー)、ISO 9660 の場合は、
ファイル名 | フォルダ名 | |
---|---|---|
Level 1 | 8+3文字 | 8文字 |
Level 2 | 30文字 | 31文字 |
Level 3 | 30文字 | 31文字 |
のようになっており、使える文字は
`_'
です。(以前ハイフン `-'
も使えると書きましたが、嘘でした。水山昭宏さん、情報ありがとうございます<(..)>)
ということは、CD に焼く前に自分のデータがこのお約束に当てはまるかどうかが問題です。ま、普通は当てはまりません(^^; そんなときは ISO 9660 を拡張したフォーマットが便利です。
ISO 9660 は Level 1 では 8文字 + 3文字までしか扱えず、正直言って今どき実用的ではありません。ところが Level 2 で焼くという選択肢がなぜかないのです。そこで仕方がないので拡張フォーマットを使います。
Microsoft による ISO9660 Level 1 拡張。この方式の CD は、システムが Joliet に対応している場合は 64文字までで文字種の制限がない CD として読め(つまり日本語もOK)、対応していない場合は Level 1 の CD(8+3文字)として認識できます。(Unicode に対応している OS なら日本語もオッケー、、、なのかな?)
ちなみに Romeo は名前は似ているけど完全に Windows 依存。
Unix や MacOS でも Joliet 対応は進んでいる(一部に問題が残っているようだけど)ようで、読み書きともに Joliet で ok という場合も増えているようです。
あまり聞かないかもしれないけど、Apple による ISO9660 Level 2 拡張。Mac からはアイコンの情報もクリエータの情報も保つことができ、こういう情報を生かせない Windows/UNIX からは Level 2 の CD として認識可能。
この方式で焼ければファイル名は30文字までの制限になり、十分に実用的。そのうえ Mac ではアイコンのデータなども反映される、とっても嬉しい方式。
最近は iTunes や OS X 標準の CD ライタが、これと Joliet のハイブリッド形式の CD を作成してくれる模様。便利な世の中になったもんです。
Unix(というか POSIX?)用のファイルシステムの持つ機能を CD 上に再現するための拡張。(明記している文書を見つけられなかったが Level1 拡張の模様。)ディレクトリの階層の数の制限を回避し、パーミッション、シンボリックリンクなどが実現できる。ファイル名の大文字小文字も区別できる。
対応していないシステムからも 8.3 形式のファイル名で読み出し可能。
まずは強引に Mac の Toast の画面で。
まずフォーマットを ISO9660 にします。 |
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ここの Data ボタンを押すと細かい情報が出てくるので、 |
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Settings タブに切り替えます。 |
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ここで Allow Macintosh Names を選びます。これは Mac の「31文字までで日本語が使える」という制限になります。Windows はファイル一つについて31文字の制限をクリアしていますので、こうしておくと Mac でも Windows でも読める CD になります。 |
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Use Apple Extentions のチェックを入れるとアイコンなどの情報が生きます。(水山昭宏さん、情報ありがとうございます<(..)>) |
同様の設定が Windows 用の EASY CD CREATOR Deluxe にもありましたので、これを使ってもらうのがいちばんです。上で挙げている Apple ISO という形式で焼いてくれているようです。(あまり細かい情報はチェックしていない。)これで、Windows でも Mac でも(恐らく UNIX でも)問題なく読める CD ができます。
ただし、EASY CD CREATOR Deluxe ではこの設定にしようとしたところ、Windows 上ではこの焼き方はうまくいかないこともあるので注意しろ、というようなメッセージが出ました。なかなか、一筋縄ではいかないようです。しかも、Deluxe じゃない Easy CD Creator ではこの方法は使えないようです。うーん、困った。B's Recorder GOLD は可能なんですが…。手元のソフトを確認してみてください。WinCDR でもできないようですね。
できない場合は Joliet などを使ってもらうしかないですが、Joliet だとベースになっている ISO9660 の level が違うので、ロングファイルネームの保存についてはちょっとあやしいです。(Mac で焼く分にはもちろん Mac でロングファイルネームの認識ができる形になるんでしょうけど。)
理想を言えば Mac 上で CD を焼くこと*9なんですが、その Mac にはどうやってデータを持っていくのか? 一つは 230MB の MO 経由。640MB では DOS Mounter などのアプリを追加する必要があるようですが、230MB の MO なら(機能拡張を入れておくだけで) Windows フォーマットの MO を Mac で読むことができます。もう一つはやっぱりネットワーク経由。しかしこの場合は Win NT server の service for Macintosh か、PC MACLAN などのファイル転送用のソフトなどが必要になります。あるいは FTP サーバを自前で立てて、それを経由するという方法もありますが、Mac Binary 周りが多少面倒なので、転送用ソフトのお世話になるのがいちばん手っ取り早いでしょう。
あるいは Windows 上で一度ディレクトリ構造丸ごと圧縮してそれを CD に焼き、Mac に持っていってそれを紐解き、改めて Mac から CD を焼く、という面倒な作業をしてもいいかも。ネットワークも MO もない場合はこれかな。
メディアって言葉はある意味シンプルですが、非常に多義的な言葉です。この場合は CD-R/RW「ドライブ」に対して、その中に入れて使う「ディスク」のことを指します。同様にビデオデッキに対してはビデオテープがメディアになりますが、あんまりこういう言い方はしませんね。なぜかディスクになると途端にメディアという言い方をするようになります。
バックアップはハードディスク増設がいちばん確実で簡単です。ノートパソコンの場合でも最近は USB や FireWire でベアドライブを接続できるパッケージがあるので、それを使えばかなり楽チンに接続できます。その気になれば何台もとっかえひっかえして使えます。
ただ、ハードディスクにはどうしてもぶっ飛ぶ不安がつきまといますがね。
CD-R/RW をフロッピーやなんかと同じような感覚で使えるようにする魔法のようなソフト。というかただのパケットライトソフト。パケットライトソフトを使った CD は何かと面倒で、せっかくの CD がよそで読めないことがしばしば起こるので、基本的には自分向け。ユーザーの利便性を考えてあるソフトを作ると、それを使っていないユーザーが迷惑を被ることがあるってのが、最近のパソコン環境の難しいところですな。しかし、CD なんて遅いメディアにパケットライトできるメリットってなんだろうか? ハードディスクを買えばいいのでは?
ちなみに、パケットライトにはまったく疎いのですが、その CD が UDF というディスクフォーマット及びファイルシステムで作成されているのであれば UDF Reader などのソフトを追加すれば読み出しは可能です。
UDF Products なんかが詳しいです。
CD-R/RW のメディアにデータを書き込むソフト。パケットライトソフトとは違ってデータを順番通りに CD に書き込むのが仕事。データを書き込んで CD を作ることを「焼く」と言ったりするんだけど、なんでそういう風に呼ぶようになったかはちょっと分からない。レーザーを当てるからという話もあるけど、でもやっぱ Toast というライティングソフトの名前の影響もかなりあるような気がする。
TOWNSとかどうなっているのか、ほとんど使ったことがないので(実はちょっと使っていたんだけど)分かりませんが、Windows も動くらしいし、PC/AT系の設計だから大丈夫、と判断します。
システムとしてはほとんどの場合日本語の名前でファイルを保存することは可能だと思います。問題は周辺のツールとその設定の方です。
(DOS/Windowsの場合)ドライブ名から始まって、フォルダの名前、ファイルの名前をすべて記述したもの。絶対パスと同義。例えば c:\usr\bin\perl.exe はフルパス。カタカナだと分かりにくいですが、bus でも bath でもありません。path です。
HFS は 31文字まで。PPC + OS 8 以降サポートの HFS+ は 255文字まで。ただしこれはファイルシステムレベルの話で、まともに 255文字をサポートしたのは OS 9 から。しかし Finder を含む(!)ほとんどのアプリは 31文字までなので、実質的には変わらない。OS X でなら 255文字までフルに使えるが、互換性を考慮して 31 文字までのアプリもある。
Hybrid CD なんかも、Mac でしか焼けません。