使い勝手はカタログに載りにくいもの、載っていても見落としてしまいそうなものなのですが、本当はカメラの性能の中で最も重要と言っても過言ではありません。これは実際に手にとってシャッターを切ってみるのがいちばんいいのですが、残念ながらデジカメは試し撃ちさせてもらえない場合がほとんどです。特に電気屋では試し撃ちは絶望的ですね。
しかし、しかしですよ。試し撃ちって本当に大事ですよ。普通のカメラはカメラ屋に行けば試し撃ちできますしね。
使い勝手の判断基準は、説明書を読まなくても使える、片手で使える、操作の選び方がシンプルで統一が取れており、迷わず使える、というところでしょうか。
カメラを使うには当然のことながら電源を入れる必要があります。しかし、カメラを使うのが目的であって電源を入れるのが目的ではありません。できるだけ無意識に電源の操作ができ、なおかつ不用意に電源が入ったり切れたりしないことが理想です。
この電源ボタンは大別して独立した電源ボタンがついているタイプとモード切替ボタンと兼用になっているタイプがあります。個人的には兼用になっているタイプの方が使い勝手がいいような気がするんですけど、どうなんでしょね?
また、電源が入って使えるようになるまであんまり待たされるのも問題です。
シャッターボタンでもいいんですけど、写真屋っぽくレリーズと呼びましょう。でも言語の英語では release だからリリースなんですけどね。
(さらになにをリリースするのかってのは、昔のメカニカルなカメラが分からないとちょっと理解できないんですけど。)
ま、言葉の話はどうでもよくて、押しやすい位置にあるか、押しやすい大きさか、反応はいいかが問題になります。反応は特に大事ですね。奥までぐっと押し込まないといけないのか、軽く押しただけでいいのか、見落としがちですが、かなり重要です。軽すぎるとピント合わせのつもりでそのままシャッターを切ってしまいそうになるし、逆に重過ぎると力が入りすぎて手ブレの原因になったりしますし、何より疲れます。
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液晶がないのでこの機能の必要のない機種もあれば、液晶をオフにできない機種もあると思いますが、大半の機種は液晶画面の表示をON/OFFできます。液晶を使わなければ電池寿命をかなり延ばすことができるため、この機能は重要です。
しかし、この機能は慣れないと分かりにくいものが多いです。もちろんどんな機能も慣れは大事ですが、ボタン類はその形や位置が特徴的であるか、あるいはボタンの説明書きが分かりやすいことが、やはり条件になります。
数年前ですが、ラジカセのボタンの説明書きが日本語になったことが話題になったことがありました。それまでは記号か、よくて英語のカナ書きでしたが、それ以降、日本語で表示する機種が増えました。圧倒的に分かりやすくなったと思いますし、概ね好評のようです。これを見習って液晶のON/OFFボタンも分かりやすくしてほしいものです。[ LCD ] と書いてあればまだいい方で、四角いマークしか書いてないものも多いです。ちょっとどうかなーと思いますね。
撮影テクニックのところでも触れていますが、フラッシュってのはやたらめったら光らせてはいけないのです。逆にカメラの判断とは違っていても光らせた方がいい場合も多々あります。
そこで、フラッシュのON/OFF、あるいはモードの切り替えはできるだけスムーズに行える必要があります。これは可能な限り独立したボタンになっているタイプをオススメします。いざ撮影する段階になって液晶画面を見ながらメニューで選んで設定するのは使い勝手のいいカメラとは言えません。
さらに欲を言えば、この設定は電源を切っても変わらないメカニカル式のスイッチである方がいいでしょう。ま、これを実現しているコンパクトカメラはデジタルでも銀塩でもほとんどないんですが。(私は Nikon 28Ti しか知りません。)
露出補正ってなに? という方もいるかもしれませんし、実際スムーズに露出補正を行えるデジカメはあまり多くはありません。
露出補正というのはごく単純に言えば明るさの修正機能のことです。写真の要素のところで触れましたが、フィルムや CCD にはテレビと同じように適切な明るさがあって、その明るさをコントロールするために絞りとシャッタースピードを組み合わせて調節しています。
しかし、その明るさの計算を間違うことがあります。例えば逆光。逆光の場合はあまりに強烈な太陽の光に惑わされて、「うわ、ものすごく明るいからあまり光を取り込まないように調節しよう」とカメラは判断します。ところが、太陽を背にして立っている人物の顔は逆に陰になっているのでその周囲よりも暗くなっているのです。ということはできあがった写真は顔の判別できないシルエットのような写真になります。
もちろんその方が雰囲気があっていい写真だと思える場合もあります。でもそういう雰囲気を狙って撮ったのならともかく、普通は人物の顔が見えない写真というのは困ります。そこで露出補正を行うのです。「本当は明るすぎじゃないんだよ。もっと明るめに撮っていいんだよ。」と教えてやるのが露出補正です。この場合、プラスに補正する、と言います。
例えば黒いアスファルトの上に落ちた1枚の葉っぱ。この場合はカメラは「すごく暗いから明るめにしよう」と判断します。しかし「暗い」のではなく「黒い」のですから、明るめにしたら黒がグレーになってしまいますし、普通の明るさの葉っぱは明るくなりすぎて薄ぅ〜くなってしまいます。この場合は逆に暗めに、マイナスに補正します。
この操作は、撮りなれてくると写真を撮るシテュエーションに合わせて、意外に頻繁に行うようになります。したがって露出補正はメニューの中ではなく、可能な限り独立して操作の行えるような設計が望まれます。
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現在のデジカメは普通のカメラと違い、撮影するだけでなくその画像を見る機能がついているものがほとんどです。また、撮影の仕方も複数選べるのが大半で、その操作性はなかなか重要なものです。
以下に挙げる機能が全部必要というわけじゃありません。ほしいものがあればいいと思います。でも、その機能が何を意味するのかが分からないと判断できないでしょ。判断のための一つの材料とでも思ってください。
たいていのカメラについていると思います。ユーザーは何も考えずにピントを合わせてシャッターを切るだけ。(ピント合わせだって考えてる人なんかほとんどいないでしょ)
プログラムオートというのは全自動と似ているけどちょっと違います。全自動は基本的にユーザーに自由はないんです。でもプログラムオートの場合はフラッシュの光り方を変えたり、ものによってはシャッタースピードと絞りの組み合わせを変えたりできます。
写真の要素のところでも触れましたが、写真の明るさを決めるものの一つに絞りがあります。この絞りはその数字(大きさ)によって効果が変わるのですが、その効果を意識して自分で絞りを決め、それに従ったカメラが自動的にシャッタースピードを設定してくれるのが絞り優先AEというやつです。
プログラムオートは絞りもシャッタースピードも両方自動で設定してくれるのですが、これは絞りを自分で決めるところが違います。
逆にシャッタースピードを自分で決めて絞りをカメラ任せにするのがシャッター優先AEです。シャッタースピードが遅ければブレるし、シャッタースピードが速ければいろいろな動きを止めることができます。
ニコン風に言うとマイクロかな。マクロとマイクロじゃー全然意味が逆なんじゃないかという気もしますが、要するに被写体に思いっきり近づいて被写体をクローズアップして撮る機能のことです。
なんでこんな機能がついているかというと、普通のカメラは実はそれほど近くには寄れないのです。あんまり近づきすぎるとオートフォーカスが機能しなくなりますし、一般的なデジカメは覗き窓と撮影レンズの場所が違うので、意図通りに写せなくなります。
そこでマクロモードにすると、近距離用のオートフォーカス、あるいは固定焦点に切り替わり、液晶で画面を確認して撮影するように自動的に液晶が ON になったりします。液晶に映っているのは覗き窓と同じ画像ではなく、撮影レンズの画像なので、液晶で確認した方が正確なのです。
撮影と表示のモードの切り替えだけが独立しているタイプもありますし、上の撮影モードの切り替えと一体になっているタイプもあります。一体になっているものはたいていダイヤル型になっているようです。
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ズーム機能はもう珍しくはないのでことさら説明することもないと思いますが、どのボタンを押したら望遠になるのか、どちらに倒したら広角になるのか、ぱっと分からないと困りますね。
ものすごく安いデジカメでない限り、撮影に直接関係するもの以外の作業は液晶画面を見ながらメニューで選ぶようになってきています。もちろんカメラによってメニューで選べる種類は違いますし、上に挙げた撮影時に変更する項目でもメニューの中に入っている機種は少なくありません。
最近のデジカメは高画質化が進んでいますが、常に300万もの画素を必要とするわけではありませんし、あまり高画質で撮っているとメモリーに蓄えられる枚数が少なくなってしまいます。そこで TPO に合わせて画像サイズを変更します。
たいていのデジカメは画素数のほかに画質を選ぶことができます。同じサイズでも画質が高い方がそれだけ容量を使い、記録できる枚数は少なくなります。この画質選択もそうそうするものではないのですが、逆にあまり使わないからこそ忘れてもすぐに思い出せる、あるいは操作できるようなメニューを設定する必要があると思います。
そのほか様々な設定項目がありますが、案外メニューの設計って難しいんですよね。携帯のメニューもそうですが、最近のこうしたメニューの設計って、下手くそで分かりにくいものがかなり多く、カメラと一緒にマニュアルをもちあるかないといけないという、笑うに笑えない話もあります。メニューが使いやすいかどうかも非常に重用です。
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カメラの動作音というのは意外に重要な要素です。ま、デジカメになってシャッターを切る瞬間の音、巻き上げの音はなくなりましたが、あえて音を出す機種もありますし、ピントが合ったときの音、メモリ切れの音、バッテリ切れの音(音を出すとバッテリを消費するので出ない方がいいのですが)、撮影スタンバイOKの音、レンズを動かすときの音、その他カメラ内部のモーターの音など、様々な音があります。
そのすべてを聞くことは買う前には到底できないけれどもそんな要素もあったなぁ、程度に覚えておくといいでしょう。意外に作動音がかっこいいかどうかも、特にメカ好きの男の人には重要な要素です。
また、作動音以外の電子音は普通すべてオフにすることができます。
写真は千差万別です。今はやりのストリートスナップ系の、仲間や自分を写して自分たちだけで見る写真もあれば雑誌に使われる取材写真、カレンダーを飾る風景写真など様々です。自分の写真はどのような写真なのかによって、適したカメラは変わってきます。
例えばカレンダーを飾るような荘厳な風景写真はものすごく高いクオリティを求められますので、低価格モデルや小さくて軽いカメラではとても使い物になりません。雨風に強いとか、強風にさらされてもビクともしない重い三脚なんかが求められます。
逆に散歩のついでに写真を撮るような感じの場合、小さくて軽いカメラじゃないと持ち運びににくくてしょうがないですよね。気軽に持ち運べていなければ撮れない、何気ない写真もありますから、そういう用途を考えているのであれば大きなカメラは向きません。
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単純に言えば画素数の問題になるのですが、どういう形で写真を見るのか、ということですね。この違いで必要となる画素数が変わってきます。
今となっては 640*480 の画面は小さい方ですが、この画面で 307200 の画素数を必要とします。逆に言えばそれよりも小さいサイズでしか見ない、例えばホームページに載せる写真やプリクラなどのシール用の写真を撮るには35万画素あれば十分ということになります。
この手のタイプは例えば10万画素などの超低価格機、携帯と接続するタイプ、パソコンに接続した状態で使う CCD カメラなどがあります。
640*480 を最低ラインとして、標準的なディスプレイで表示できる最大サイズは今のところ(2001.03.)は 1600*1200 くらいでしょう。画素数にして 1920000、およそ200万です。これくらいであれば、現在ではそれほど高くない機種でも実現できる画素数です。またこれくらいのサイズであれば画像の荒れもある程度は仕方ないと言えますし、それほど高価なレンズでなくとも実用に耐えるでしょう。
これくらいのクラスになるとさすがに普及価格帯のカメラでは苦しくなってきます。六切というのは普通の紙のサイズの表記でいうと B5 くらいのサイズですが、これはちょうど雑誌の表紙の写真なんかを思い浮かべてもらえばいいと思います。
この大きさに、300dpi の画質で画像を出力するにはどれくらいの画素数が必要でしょう? 300dpi というのは日本のカラー印刷の標準的な品質である線数175の品質をほんの少し下回るのですが、8インチ×10インチとすると 300*8*300*10 で、なんと 720万の画素が必要になります。これは現在の最高水準のデジカメの画素数を少し越えてしまいます。
もちろんプリントするにしてもみんながみんなそんなに大きくするわけではありません。サービスプリントの倍の 2L というサイズくらいでしょうか? そのくらいであれば200万画素で 300dpi を確保できます。サービスプリントであればなお美しさを確保できます。
このサイズのプリント、印刷の品質を確保するには普及価格帯より少し高いカメラから最高級のデジカメであればだいたい可能です。
これ以上のサイズはさすがに現在のデジカメのレベルでは難しいと言えます。最高で600万画素クラスのデジカメがありますが、それでも銀塩に比べればまだまだですし、だいいち一般の人が使う 35mm というフィルムでも、よほど低感度で微粒子のフィルムを使わない限り、荒れが分かります。フィルムだけでなく、レンズのサイズ的に言ってもこれ以上のサイズは少し無理があります。これ以上のサイズを望むのであれば、より大きいサイズのフィルムカメラを用いるのが適切でしょう。具体的にはいわゆるブローニーと呼ばれる中判カメラやシートフィルムを利用する大判カメラなどになります。
もちろん画質にそれほどのコダワリがなければいくらでも大きくすることは可能です。確かに最近はフィルムの技術の向上による高画質化よりも、パノラマや APS の出現による低画質化に対する人々の順応の方が進んでいますから、それほど厳密に画質にこだわる必要はないのかもしれませんね。