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なんで Mac が好きなのかね

自分は MacOS に好感を抱いています。しかしその実メインマシンはずっと Windows だったりします。今回は MacOS のどこが好きで、それでもなおなぜ Windows を使っているのか、そこら辺をネタにしてみようと思います。つまり、Windows しか知らない人には Windows 以外の世界は何が違うのか、Mac な人にはなんでこいつ Mac 買わねーのか、ということを整理することで、Mac も Windows も相対化できないかな、と思っているのですが、詰まるところはタイトルの通りで、自分で確認したかっただけです。えぇ。

書いた時期不明。たぶん 2000年かそれ以前くらい。念頭に置いている OS は MacOS 9 と Windows 98 / 2000 です。

心憎いマウスの微調整

Windows になってマウスが OS のすべての操作をつかさどることになったとき、やれダブルクリックができないだのドラッグが難しいだのいろんなことが言われましたが、一言で言ってこれはマウスというものの哲学が悪いのではなく、そのまさに握っているマウスという物体のツクリと OS 側のチューニングが悪かったのです。

正直、Windows 用のマウスは長いこと使いにくい製品が多く出回りました。PC がずっとずっと価格競争を続けていたせいもあるのでしょうが、キーボードの感触もマウスの感触も、全然よくないものばかりでした。(同じようなことを、高かった頃の NEC のマシンを知っている人は Compaq のマシンに感じていたはずです。)

でも Mac のマウスは違いました。Mac は、いや Apple は、かな、マウスが自分たちにとってどれほど重要なものかをはじめから知っていました。そりゃそうです。最初から GUI の OS だったんですから。Apple のマウスは他のマウスに比べてボタンの数ではなく、ボールの転がりが違うのです。Windows 用のマウスは指先の動きに全然ついてこず、手のひら全体で転がすようにしないといけない感じがするのですが、Mac 用のマウスは(ADBマウスIIから)比較的ボールと指の位置が近いために、より思うとおりに操作しやすい設計になっていましたし、ことさら加速の調整をしなくても自動でしかも思う通りに動くように加速してくれていたのです。これは Windows 用のマウスドライバが加速の項目を設け、その設定をしたらなおさら使いにくくなってしまうよりも何年も前の話です。(案外 Mac ユーザーもこの加速の事実に気づいていなかったりします。)

さすがに iMac 用の丸いマウスについてはあちこちから批判が出ましたが、それでも転がりとクリックの感触に関しては Windows 用のマウスの比ではありませんでした。まー今となってはさすがに色んなメーカーがマウスを作り慣れてきたので、Windows 用のかなりの安物でもそこそこ使える操作感を実現できていますが。

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目につきやすいマウスカーソル

Windows のマウスカーソルは 2000 になって立体感を演出したり反転色を使ったりすることでずいぶん見やすくなりましたが、長いこと本当に「見失いやすい」困ったカーソルでした。

原因はとっても簡単、ウィンドウの中身が白いのにカーソルも白かったからです。

MS-DOS の頃は画面は基本的に黒いものでした。この頃、マウスカーソルは一般に白か黄色でした。実にコントラストの高い、見やすいカーソルでした。しかし Windows になってウィンドウの背景は基本的に白になりました。なのにマウスカーソルも白いのです。そりゃ黒い枠線はついているかもしれませんが、視覚的なコントラストは従来よりかなり低くなってしまいました。

そして Windows 初期の頃のノートパソコンの液晶は反応の鈍い DSTN 液晶が主流でした。そりゃ見失わない方が不自然ってもんです。

対して Mac は白を基調にした画面の中に黒いカーソルという、非常に合理的な配色でした。まぁ、モノクロの時代のあった Mac のことですから、この選択は当たり前すぎるほど当たり前なのかもしれませんが。

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シンプルで統一感のある操作性

マウスオペレーション

Mac にマウスボタンが1つしかないのはすでに有名ですが、1つで十分使えることは Windows の世界の人にはあまり知られていません。だいたい、やたらと右クリックを使うようになったのってつい最近の話だし、UNIX の世界の人は3ボタンなんだからこの辺はお互い様なんですけどね。

Mac の場合、

という3段階になっています。Windows も考え方としては一緒なのですが、Mac の方がボタンが1つしかないので小さな子どもでも間違えずに使えますし、使い始めたときの混乱を小さく抑えられます。

よくパソコンに詳しい人の中に最初っからものすごい量の説明をしてしまう人や聞かれてもいないことをどんどん教えてかえって初心者を混乱のどん底に突き落としてしまう人がいますが、Windows にはそういう面があるんです。「こうすると便利だよ」という情報は、あくまで基本の操作を身につけている人を対象に教えてあげるべきです。必要なければ教えることはないのです。徐々に自分で階段を登らないとそういうのは身につきません。

同じように間違えて右ボタンを押してしまうような初心者には2ボタンマウスは少しも有難くありません。ま、自分が便利に使えればそれでいいというのであれば、別にいいんですけど。

というわけで、慣れてきたら Mac を使うときの基本フォームは

持ってくるのが正しい、ってことになります。無意識にそういう体制に入れる人はすでにマッカーでしょう。

逆に言うと事故や修行か何かで両手を自由に使うことのできない人には Mac はまどろっこしいでしょう。右クリックを使うことが左手の特殊キーによる補助より使いやすい人もまた多いです。長押しのその間がまどろっこしいと感じる人もいるはずです。その辺は検討の余地があるでしょうね。(OS X では2ボタンマウスも3ボタンマウスも使えるようですが。)

キーボードショートカット

キーボードショートカットはディープなユーザーには絶対になくてはならないものでしょう。Windows 的にいちばん有名なのは

代表的なショートカットキー
操作 ショートカットキー
コピー Ctrl + C / command + C
カット Ctrl + X / command + X
ペースト Ctrl + V / command + V
取り消し Ctrl + Z / command + Z
上書き保存 Ctrl + S / command + S
開く Ctrl + O / command + O
印刷 Ctrl + P / command + P
アプリの切り替え Alt + Tab / command + Tab(OS 8.5以降)

辺りでしょう。この辺は Windows も Mac も(1つを除いて)同じような操作なのですが、ここから下になるとばらついてきます。

ウィンドウを閉じるショートカットキー
操作 ショートカットキー
ウィンドウを閉じる (該当なし) / command + W

自分たちがかつては MDI アプリを推奨し、MDI アプリが多いくせに、Windows ではショートカットキーとしてはウィンドウを閉じることとアプリを終了することに区別のないものが多いのは実に困ります。みなさん一度に一つしかファイルを開かなくていいのでしょうか。Microsoft の社員はそれで困りませんか?

だいたい、MDI は複数存在するはずのウィンドウの存在を隠してしまい直感的でないので、個人的には好きじゃないんですが。初心者に説明しにくくて仕方がない。同様にタブ方式も好きじゃない。タブとそうでない方式をちゃんと選べないとダメ。

そしてアプリケーションを終了するとショートカットになると、

アプリケーションを終了するショートカットキー
操作 ショートカットキー
アプリケーションの終了 Alt + F4 / command + Q

Windows の操作性が突然変わります。なぜ Alt やファンクションキーなど、他と全然違う方法になったのでしょう。だいたい、ファンクションキーは Alt から遠すぎますし、標準状態では Ctrl キーからも普通のキーは遠すぎます。使いにくいことこのうえなし。

ただ、Mac にも対応しているソフトに関しては概ね Ctrl + Q に終了が割り当てられています。これはそのソフトが独自にそうしているだけですけど。あ、MS Office にはそういう配慮はありませんね :P

ファイルの操作

ファイルの情報を見るショートカット
操作 ショートカットキー
情報を見る (該当なし) / command + I

情報を見るってのは「プロパティ」に近いけれどもそこまで汎用性のあるものではありません。基本的にはアイコンに関する情報を表示するためのものです。ディスクなら容量やフォーマットなど、書類ならその種類、アプリならメーカーや使うメモリなどの情報を見ることができます。(一部は設定もできます)

その他の操作
操作 ショートカットキー
複製 (該当なし) / command + D
エイリアスを作る (該当なし) / command + M(Classic)

この辺は Windows は右クリックでドロップする瞬間に決定する、というめちゃくちゃ分かりにくい方法が採用されています。これはもう知っている人に聞かなきゃ分かりません。自分で試していてもまず気づかないでしょう。難しすぎます。

また単純に右クリックからショートカットを作成できるアイコンとそうでないアイコンがあり、統一されていません。

そんなにめったに作らないと言われれば確かにそうかもしれません。特に自分流の操作環境を特定のアプリを追加することなしには実現しにくい Windows ではなおさらそうかも。

それにしてもこうして見ると Windows の操作はなんかやっぱ洗練されてない感じがします。

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画面を広く使える

統一されたメニューバー

MacOS にはメニューバーが画面上端に一つしかありません。すべてのアプリケーションを使うに当たって、必要な操作はすべて画面のいちばん上のメニューバーに集約されています。このメニューバーには、常に現在アクティブなアプリケーションのメニューが表示され、アプリケーションが切り替われば自動的にメニューも切り替わります。

このおかげで個々のアプリケーションウィドウにはメニューバーがありません。必要ないのです。そのため個々のアプリケーションはウィンドウの領域を最大限に活用することが可能になります。

Windows でもツールバーの表示 / 非表示、ツールボタンのサイズ変更などをしてどうにかアプリケーションの作業領域を確保しようとカスタマイズする人がいると思います。(私もよくブラウザのボタンを小さくしたりしています。)でも Mac の場合はそんなことをしなくても広いのです。

小さくても視認性の高いフォント

MacOS のフォントは実によくできています。最近では内部に持っているビットマップフォントの「段階」とか、なぜか行間の調整を勝手にやってくれるなどの点が特に Web の世界で指摘される Osaka フォントですが、このフォントは MS ゴシックよりも小さい文字での視認性に優れています。

また「文字のなめらか表示」も Mac の方が小さい文字から可能ですし、その効果も非常に見やすく、いいデキです。

他人の作業画面を覗き込んだときには「こんな小さな文字でよく読めるな」と思うのですが、自分が使ってみると確かにその大きさで特に苦しくないんですよね。実に不思議です。文字のサイズが小さくてオッケーなら、当然全体的に画面を広く使うことができるようになります。

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操作性を優先した“効果”

Windows にもアニメーションの効果はいくつかあります。スクロールやウィンドウの最小化、最大化、メニューの表示の仕方など。でもこれ、問答無用でオフにしている人が多いんじゃないでしょうか。

なんでかっていうと、この効果、人間の感覚に逆らうんですよ。これから何かの操作をしようということでメニューを開くのに、これにスクロールやらフェードやらの効果が掛かってるから、一瞬待たされてしまうんですね。これがものすごくストレスに感じてしまうのです。

Mac の場合もこういう効果はあります。ま、音に関してはかなり好みが分かれるでしょうが、例えばウィンドウシェードのアニメーション、アプリやフォルダのウィンドウを開くときのアニメーションを、「あーどうしても切りてー」と思う人は多くはないでしょう。このアニメーションはよーく見てみれば分かりますが、ほとんど手抜きかと思う程度しか効果が掛かっていなく、決して邪魔にならない程度に抑えられているのです。(OS X の Aqua は違います。あれはさすがに。でもマシンパワーに余裕があればあの効果も別に気にならなくなります。Windows のあの効果はマシンパワーが上がっても速くはなりません。)

案外この事実は見落とされがちです。もうちょっと評価されてもいいのに。(まぁでもすでに Classic OS が評価されることは Apple の嬉しいことではありませんが。)

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逆に Mac のダメなところ

大画面では見にくいメニューバー

さすがにこれだけ画面が広くなってきた現在では、逆にメニューバーが常に画面の一番上にあるのは、本当に広さを追及する人以外には使いにくいでしょう。(個人的には Windows も日本語入力の状態など、どうせアプリごとに切り替わるのだから個々のアプリのウィンドウについてくれたらいいのに、と思います。)まぁエキスパートはキーボードショートカットだけでなんとかなるのかもしれませんが、すべての操作にキーが割り当てられているわけではありません。メニュー操作のたびによっこらせといちばん上まで目やマウスカーソルを持っていったのでは集中力によくない感じがします。

起動しているアプリの一覧性

伝統的な MacOS ではタスク管理の性能も高くなかったことから「数多くのアプリを切り替えながら使う」という使い方には不向きでした。そのおかげか、OS 8.5 までは現在起動しているアプリをいつでも確認できる機構がありませんでした。(Windows のようなタスクバーを実現するソフトもありましたが。)OS 8.5 からはアプリケーションメニューを独立してフロート化して置いておくことができるようになりました。それでもアプリケーションメニューをフロート化させる操作をしないといけないので、標準のままでは確認できません。

この辺はプロセッサパワーが上がったのならさっさと OS X へ行けってことでしょう。OS X はメニューバーも大きくなり、大画面への対応が考慮されていますし、Dock があるのでメニューバーまで目をやらなくてもアプリの確認なんかは一目でできます。

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ハードウェア

こんだけ持ち上げておいて、じゃーなんで Windows マシンを常用しているのかと申しますと、Mac におけるマウスオペレーションの“良さ”と同じく、ThinkPad のキーボードの“良さ”にヤラレているってことがいちばんでしょうか。

基本的なことはどっちの OS でも問題なくできるようにしているので、、ThinkPad に PPC 載っけて MacOS が動くんならそれがいいなぁと思いますが、それじゃあ IBM のビジネスとして成り立たないし、今の Apple は互換機は一切認めていないので無理です。(昔は PPC 搭載 ThinkPad ってあったんですね。)ま、そんなわけで Windows ユーザーしてます。

Unix じゃないのは、ノートの場合はドライバ周りでトラブルの起きる可能性が高い(もちろん解決可能な場合も多い)ので、面倒を避けて Windows に落ち着いてしまいますね。

最終的には

やっぱ雰囲気ですかね。何が好きってあの雰囲気なんだと思います。まぬけな音も好きだし、美しいフォントも好きです。MacOS でアンチエイリアスの掛かった明朝のフォントで文章を読んでみなさいって。全部名文に見えるくらいにきれいなんだから。

でも、ほんまもんの Mac 好きはこういう御託を並べる以前に Mac な世界が好きなので、御託を並べているうちはわたしゃ本物じゃないです。

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