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いまどき PC か

PC説教講座はPCについてのある程度の情報提供と自分で調べろという姿勢がテーマです。

しかしですね。

別になにがなんでも PC を使いこなさなければいけないとか、これからは PC は必須とか、そんなことを言いたいわけでもありません。いや、すでに使わなければいけなくなっている人はたくさんいると思います。そういう人にはどうせ使わなければいけないのであればより便利に使ってほしいと思います。でも、使わずに過ごす方法もなくはないと思います。

IT, IT と言われています。ちょっと古い言い方だと高度情報化社会ってやつでしょうか。それを実現するのが IT = 情報技術ですね。ですから、これからの社会で IT と無縁に生きるのはかなり難しいです。でも IT すなわち PC でも、IT すなわちインターネットでもありません。IT の意味はもっと広いです。ではその IT 社会において PC は必要でしょうか。

まずは IT 社会のおさらいをしましょう。(2002.03.)

IT に PC は必須ではない

WWW

基本的にはすでに生活の一部となった WWW、これにアクセスできることは必須でしょう。最近はこういうことはあまり言われなくなりましたが、WWW によって情報発信のコストはずいぶん低く抑えられます。大量に印刷して配布するよりも WWW で配信する方が断然安いです。それに情報発信元に直接アクセスすることができるので、常に最新の情報をチェックすることが可能です。かっこいいとかそういうことではなく、もっと単純な理由で WWW による情報発信は今後も加速するでしょう。

これにアクセスする方法は段々増えています。以前は PC がなければ不可能でしたが、今じゃ携帯電話からも PDA からも家庭用情報端末からもアクセス可能です。つまり PC でなければいけない、ということはありません。

e-Mail

そしてメールですね。これも電話線を維持するよりメールアカウントを維持する方がはるかに安上がりですので、例えば小さなお店なんかでは WWW でのみ情報発信、e-Mail でのみ応対、ということもこれからは増えていくかもしれません。

また、様々な機関、団体、個人がメールマガジンと呼ばれる定期刊行物を有料、無料で配信しています。これは WWW とは違い、基本的にすべて文字ベースの情報となりますが、メールに限れば使い方は簡単です。

例えばその配信の申し込みを誰かに代行してもらえば、情報の入手そのものについては自動的に送られてくるので特別なスキルは必要ありません。要するに現在行われている様々なダイレクトメールなどの代わりにメールが使える、ということです。

この目的のためなら、別に高度な PC は必要ありません。携帯電話だとさすがに受信できる容量が小さい気はしますが、メール端末や PDA などであれば十分でしょう。

音声、映像のデジタル化

現在様々な音声、映像、その記録媒体がどんどんデジタル化しています。カセットテープが CD / MD になり、CD-R が登場しました。ビデオテープは VHS から DV になり、DVD/R になりました。

このデジタル化は一部 PC と重なりますが、基本的に PC がなくてもその恩恵にあずかることはできます。普通、CD は PC で聴くものではありません。ドライブ、アンプ、スピーカーの性能を考えれば PC で聴くより専用のプレイヤーの方が絶対に音はいいです。それに CD → MD、CD → CD-R のコピーは別に PC がなくても可能です。様々な音源から編集した“オリジナルディスク”だって、別に PC がなくても作れます。

DVD に至っては PC の方が見にくいです。PC 用のディスプレイは基本的に普通のテレビより小さいです。

写真もどんどんデジタルになっています。でもはっきり言ってフィルムの方が絶対にきれいです。フィルム並みにきれいなカメラもありますが、べらぼうに高くなります。そしてそんな写真は PC の画面にはでかすぎて満足に表示できません。

衛星放送、CATV はユーザーが意識することなくデジタルです。

デジタル化と PC とは直接は関係ないのです。

では PC とは何か

PC は一言で言うなら使いこなせればデジタル情報の受信 ・ 生成 ・ 加工 ・ ストックを容易にできるもの、です。

データの受信・ストック

例えば WWW へのアクセスでは、他の情報端末よりも圧倒的に広い画面が他の端末を使うよりも情報の入手において有利に働きます。サイトの設計にもよりますが、一覧性が高い方が情報の取捨選択は容易です。

e-Mail も基本的に受信容量の制限は無制限に等しいですし、自分でメールを書くのも「キーボードに抵抗がなければ」携帯電話や PDA よりはるかに楽です。

音楽や映像は“ある程度クオリティを犠牲にして手間を掛ければ” PC の中に大量にストックすることが可能です。1台の PC の中に何十枚という CD の内容が収まるのであれば、ずいぶん場所を節約できますし、CD を“掘り出す”こともありません。

たられば付きですが、他の機器に比べてメリットもあります。

データの再利用

しかしいちばんのメリットはデジタル化したデータを再利用できる点でしょう。

例えば WWW を“見ながら”そのサイトの主に連絡を取るためにメールを出す、というのはメール端末や携帯電話には不可能です。重要な情報や他の人に教えたい情報だから保存しておこう、今度このお店に行くときに印刷して持っていこう、といった WWW の“情報をどのように利用するかを自分で決められる”のも PC の強みです。

オリジナル CD の編集なんかも PC の方が楽です。音のレベル合わせ、曲順入れ替えも簡単ですし、ラベルやジャケットも作れます。同じことがビデオにも写真にも言えます。

しかも文字と画像、映像と音楽、など、これまで別々に扱うしかなかった情報を一つの PC でまかなうことができます。ここは本当に決定的に違います。他の機械にはマネできません。

データの可搬性

もう一つ、PC の方がデータを移しやすいというメリットがあります。間口が広いのです。

例えばメール端末や携帯電話、AV機器と違って PC はいろんなものを接続することができます。データのバックアップやコピー、別なメディアへの出力(投影)などが行えます。

汎用性と自己防衛と変化

まぁこのように、PC はいろんなことができます。

いろんなことができるので、それぞれについての知識、スキルが必要になります。当たり前でさぁね。

逆にいろんなことをしないのであれば PC は必要ありません。

そして PC の場合は“いろんなことができる”分、そのクオリティについて甘い部分があります。例えば CD-R を作成することはずいぶん前から“可能”でしたが、よく失敗するものでした。オーディオ機器で CD の作成に失敗するようなものは製品として失格でしょうが、PC の場合はアリなのです。ビデオ編集が PC でもできます。でも専用の編集機と違ってべらぼうに時間が掛かったあげくに“落ち”て“飛ぶ”こともあります。しかし、それでも PC メーカー、ソフトメーカーには基本的に責任はありません。

だからそうならないように自分で情報を入手し、ノウハウを高めていく必要があります。PC を使うといろんなことが“可能”ですが、それらすべてのノウハウや保障はセット販売になっていません。

もうひとつ、PC を取り巻く環境は安定していません。本当に基本的なことはほとんど変わっていないのですが、テクノロジーの進化にともない、昔のノウハウが通用しなくなってしまうことがよくあります。PC を使うってことはこの変化をも受け入れるということです。

PC にはいろんな可能性と、そこから生まれる情報を集約 ・ ストックできるというメリットがあります。しかしそれを安定・安心して行うためにはいろんな知識・スキルが必要になります。OS の機能や操作性でごまかせる部分もありますが、そうでない部分もたくさんあります。

そこがややこしいところです。

ある程度以上 PC を必要とするのであれば、悪あがきは止めた方がいいと思います。使えた方が絶対に楽。そのためにはやっぱりある程度のトレーニング期間は必要です。これは間違いない。そんときは

やりたいことからやること。

これです。

なんかよく分かんないけどパソコンでも買ってみよ、という人は別に買わなくてもいいような気がします。仕事でキーボードが叩ければ十分でしょう。そのうち家電と情報機器の融合が起こってきて、統合された環境としての PC や、ワクワクするクリエイティブツールとしての PC に用のない人はそうした機器を使えば事足りる時代がくると思います。

例えば

などなど。でもまだまだ先の話ですけど。通信帯域、プロセッサパワーともに全然足りません。最近のケータイは明らかに反応が悪いですよね。サービス過剰。詰め込みすぎ。

いかん、それた。ま、要するになんか分かんないけど持っていた方がいいような、くらいの気持ちならいらない。逆にこれをしなきゃ、これをしたいと思う人は即買いです。やりたいことから、必要なことから使い倒してください。知ってくればくるほど使いものになります。