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「インターネットする」って?

困ったことに「インターネット=ホームページ」という誤解は広まったままのようですね。また、最近は売り手の企業側が意図的に「インターネット & E-メール」という、非常に困った表現をするんですよねぇ。なんとかしてほしいもんです。

ここではインターネットにどれだけの広がりがあるかということを、インターネット上のアプリケーションをいくつか紹介することでお知らせしたいと思います。

インターネットはホームページなんかじゃない!

Last Update 2001.01.

インターネットはただの仕組み

インターネットはある特定の、非常にアバウトな約束を守っているだけのふにゃふにゃであいまいな巨大ネットワークです。その正体はそれぞれの会社、大学内の LAN であったり、個人がインターネットサービスプロバイダ(ISP) を通して電話回線経由で接続しているものだったりします。図には個人の接続の様子は書いてありませんが、一般的には何らかの会社に接続しているので省きました。

実際にはそれぞれの会社なども直接インターネットに接続されているわけではないのですが、その辺を説明し始めると長くなるのでこれも端折りました。ま、とにかく、インターネットには中身なんぞないのです。世界中のコンピュータを接続することができる「仕組み」に過ぎません。

言うなればテレビです。映像の映っていないただのテレビ。テレビはそのまま観賞用にする手もなくはないですが、普通はアンテナ線を接続して電源を入れて、何らかの「番組」を見るものでしょ? 「テレビ見た?」って言うときにまさか本体を見たかどうかなんて聞いちゃいないもんです。

しかしこの仕組み(本体)の上に様々な面白いアプリ(テレビ番組)があるからこそインターネットは遊べるし、使えるのです。有名な例を見てみましょう。

(インターネットには確かに中身はないですが、低俗で劣悪で犯罪の温床になるので規制すべきという暴論にはわたしゃとても賛成できません。近代以降、人類が初めて手に入れた自由なメディアなんだから。)

近代的なネットワークはクライアント/サーバシステム

うーんと、思いっきり端折って書くと、昔はホストコンピュータと端末という関係だったのですが、現在はそれぞれのサービスについてサーバとクライアントがやりとりをしていますよ、ということです。

これは、中央集権的なものから地方分権的なものになっているのです。昔はホストコンピュータに接続しないと何もできない、ということが多かったのですが、最近ではとりあえずパソコンだけでだいたいなんでもできます。そのうえで、自分だけではできないことをサーバにお願いする、という形になっています。このサーバというのも「”ホストコンピュータ”という機械そのもの」から「”サーバプログラム”というソフト」に移っています。

おかげで、システムの設計が複雑になっているのも事実ですがね…。

WWW

いわゆる「ホームページ」あるいは「インターネット」ですね。確かに World Wide Web というのはインターネットの機能イメージそのものでもありますが、これはインターネットアプリケーションの一つに過ぎません。

WWW というのは、世界中に設置されている WWW サーバ(HTTPサーバ)に、世界中のユーザーが、原則自由にアクセスし、そこにある情報を入手することのできる、大規模な文書公開システムのようなものです。従来のメディアでいうと、本を保管してある図書館(サーバ)にお願いしてコピーを送ってもらう、という行為に似ています。


ただ、従来の図書館と違うのは、電話や封書で担当の人にお願いしたり、手数料を払うなどの面倒がない、ということですね。

これだけだとなんてことのない話(じつはすごいこと)ですが、そのうえ送ってもらうコピーは完全にデジタルなので劣化しないし、ハイパーテキストという、マルチメディアを実現し、従来の一次元のスクロール(巻物)から脱皮したテキスト(文書)なのです。


なんだか急に大仰な表現が出てきましたが、ま、少し落ち着きましょう。マルチメディアを実現するってのは分かりますね。とりあえず文字だけじゃないってこと。文字、イラスト、音声、写真、動画、などの様々なモードの情報を扱うことができるってことです。また、現在はプラグインという形でゲームなどもインターネットを通じて行うことができます。このページはせいぜい文字と図だけですが、インターネット上には様々な、アニメーションやゲームなどの機能を持ったページがたくさんあります。

で、問題は一次元うんぬん。これは早い話、「始めから終わりまで」って流れに縛られないことを意味します。もちろん今までの本も、特に雑誌なんかは拾い読みをすることはできるんだけど、基本的には文書というものは始まりがあって、結論や結末という一つの方向に向かって読み進んでいくものですよね。そういう意味では本も巻物も、形が違うだけで、本質的には変わってないんです。(ページという概念はレイアウトや前後の移動について革命的な変化を与えると思いますけどね。)この直進性をさきほどは一次元と呼んだわけです。

つまり百科事典みたいなもんで、あれを始めから終わりまで順を追って読んだって流れなんかなくて、個々の項目の中にしか一次元な流れはないし、それぞれの項目が複雑に絡み合って、全体で膨大な知の集大成を形作っていますよね。そういう構造のものをハイパーテキストと呼ぶわけです。(本当は言語学の世界でもっと厳密でかっこいい定義が成されていると思いますが。)WWW は本という形を成していないのでますますその傾向が強まっていて、世界中が繋がっているんだ、と考えておけばとりあえず間違いじゃないと思います。


なに、難しい話はいやだ? そうだなぁ、ハイパーテキストってのはペーパーアドベンチャーだ。どうだ、分かりやすいだろ。(一部の人間だけだよな、こんなの分かるの。)

この仕掛けを WWW で実現するには HTML というマークアップ言語を本文の中に埋め込んでいきます。余談ですが、ハイパーテキストを実現するマークアップ言語は HTML だけではありません。これに関しては sf さんのページが詳しいので、あとはそちらに譲ります。

最近ではこの WWW 上で単純に文字、絵、音が見られる、聞けるだけでなく、様々なインタラクティブな仕掛けが動いているのですが、細かいところは端折ります。ただ、掲示板も Web チャットも、基本は一緒です。

ブラウザとか

e-mail

最近、パソコンを買ういちばんの動機はメールなんだそうで。ほとんど挙げる必要のないことなんですが、でもひょっとして分かっていない人がいるといけないので書きます。e-mail はインターネットを経由してるんですよー。

そして、見た目には一緒ですけど、送信と受信には別々の仕掛けが動いています。メールソフトの設定で見覚えがあるかもしれませんが、SMTP と POP です。

e-mail に関して言いたいことはいっぱいあるので、本講座の Internet Mail をどうぞ。

ML(メーリングリスト)

メールはだいたいは1対1のやりとりが多いと思いますが、このメーリングリストは、リストに登録した人全員でメールのやりとりをします。メーリングリスト用のアドレスがあって、そこにメールを出すと、登録されている人全員にそのメールが流れる、という仕掛けです。この仕掛けを使えば手軽にグループでメールのやりとりができます。WWW の掲示板と同じと言えば同じなんですけど、掲示板と違うのは、1)メールアドレスを登録する必要がある、2)したがって比較的簡単にクローズドなコミュニケーションが取れるし、2)いわゆる「荒らし」の被害は少ない、3)そのうえ議論の流れが手元に残るのであとで整理しやすい。というところでしょうか。もちろん使ってるソフトが WWW ブラウザかメーラーか、という違いはありますが。

また、メールマガジンと違うのは、参加者全員に発言の権利があるという点です。

これも今はサーバがいじれなくても、無料で設置することができます。検索サイトに「無料 ML」と入れてみてください。意外と見つかります。


メールマガジン

1人あるいは複数の発行者から、多数の登録者宛てにメールを配信するもので、定期的に発行するものをメールマガジンと呼ぶようです。(いつ頃からこの呼び方が登場したのか正確には分かりません。)具体的にはまぐまぐをはじめ、こうした配信サービスを行ってくれる会社がありまして、そこに発行者と読者がそれぞれ別々に登録します。

(まぐまぐはマガジンが多すぎるのか、ちょっと発行までの手続きが多いですね。先に PR 用の Web を作らなきゃいけない、とか。)

ほとんどのメールマガジンは、WWW から自分のメールアドレスを読者登録するだけで、あとは最新号が発行されるたびに登録したアドレス宛てに発行者からのメールが届きます。

読者はメールを送信することはできません。送信できるのは発行者として登録した人だけです。

参考

メールニュース

メールマガジンと同じく一方的ではあるんですけど、もうちょっと大規模なものですね。配信元も大手の新聞社や販売店なんかで、メールマガジンと違って有料のものも多いです。私の記憶が確かならば、メールマガジンよりもメールニュースの方がサービス開始は早いはずです。逆に言えばメールニュースを小規模に、手軽にしたものがメールマガジンとも言えますね。

NetNews

今は実はあんまり流行らないんですが、その昔はこれがインターネット上のコミュニケーションの花形でした。何かっていうと、登録の必要ない、時差の大きい ML みたいなものです。もちろん今も伝統的なユーザー(一部の大企業や大学)には比較的なじみのあるものなのですが、やはり

ということで、主役からは退いてしまった感があります。

こんなことを書いているが、最近流行りのメールソフトはニュースリーダーの機能を兼ね備えたものが多いんだよな。どういうことだろう?

仕掛けとしても掲示板と ML の中間のようなもので、メールのように完全に個人の手元に情報が届くタイプでもなく、掲示板のようにみんなが同じ場所にアクセスする必要があるかというと、そうでもないものです。

いくつかに分散したサーバ上でメッセージを共有し、(新しい記事が投稿されたらそれがそのサーバ群すべてにコピーされます。ここでタイムラグが生じます)ユーザーは近いサーバにアクセスし、記事を読みます。

本来は全部専用線で繋がっていた時代の産物なのでオンラインで読むのが流儀なのですが、インターネットが個人のレベルにまで浸透してきた現在、そんなことは言ってられないのでオフラインで記事を読むことのできるソフトが現在の主流です。

FTP

インターネット上で様々なファイルを直接転送するのは FTP という方式です。もちろん http でも mailto: でもファイルの転送は起きるのですが、インターネット上にファイル置き場を設け、その間でファイルの転送を行うことそのものが目的なのは FTP だけでしょう。

通常、いつこれを利用するかというと、「インターネット」からのファイルの「ダウンロード」とホームページの「アップロード」のときです。アップロード、ダウンロードという用語はパソコン通信の影響を受けた、インターネット的には正確でない表現なのですが、まぁこの辺は放っておきましょう。

そこでゲームをがんがんダウンロードしているあなた、あるいは MP3 をだうんろーどしているあなた。FTP しまくってますね(笑) そしてインターネットしまくってますね。

telnet

コンソール、というものを知らない人が多いので紹介するのが大変なのですが、要するに他のマシンにログインする端末、のようなものです。

これを使えば離れたところにある UNIX マシンを手元にあるのと同じように使うことができるという優れものです。ただし、マウスではなくすべてキーボードでコマンドを使う必要がありますけど。

これは非常に古いもので、ここでやりとりしている内容は実は外部に漏れ放題なのです。そこでこのやりとりを暗号化するものが ssh です。

ポップアップメッセージ

最近比較的注目を浴びているアプリケーションです。AOL のインスタントメッセージや ICQ が有名ですが、Microsoft の Netmeeting や、マイナーなところでは IP messenger などもそうです。(インターネット人口がこれほど多くないときにはむしろメジャーだったような気もしますが)なお、一般的にポップアップメッセージと呼ぶのが正しいのかどうかはちょっと分かりません(^^;(「流れとしては」インスタントメッセージと呼ぶようですが、それはステープラをホチキスと呼ぶようなもんなんですよねぇ…。と思っていたら、どうもページャー系と呼ぶのが正しそうな感じです。)

これには大きく分けてサーバを必要とするものとサーバを必要としないものに分かれます。前者の代表がインスタントメッセンジャーや ICQ で、後者はいろんなソフトがあるんですけど、個人的に慣れ親しんでいるという理由で IP messenger を挙げておきます。(図ではサーバの下をくぐっている矢印がサーバを経由している通信、サーバの上を乗り越えている矢印がサーバを経由していない通信を意味しているつもりです。)

サーバを必要とするものは、

という利点があります。その代わり、注目を集めているソフトだけにバージョンアップをくり返し、機能も豊富になってきていて、意外に重くなっています。例えばダイアルアップで接続しながらワープロとブラウザと ICQ を動かすという使い方は、その気楽さに反してけっこう酷です。(特に ICQ は他のウィンドウに悪影響を与えやすくて困る)

もうひとつ、インスタントメッセージはどうも AOL というプロバイダの戦略でもあるんですね。こうすると確かに自分とこのサイトのアクセス数が増えるので広告収入に結びつけやすいですよね。うーん、かしこい。

逆にサーバを必要としないものはユーザー登録も必要ないし、その分設定も楽だし、小さくて軽いソフトが多いのですが、基本的には LAN 内での利用が前提になります。これは何より、ダイアルアップ環境だと相手の IP アドレスが分からんなくなっちゃうから、という理由が大きいです。

図を見てください。サーバを経由してメッセージを送信する場合は、サーバがユーザーの IP アドレスを知っていますが、経由しない場合は相手の IP アドレスを知る方法がありません。インターネット上のマシンはこの IP アドレスが識別子ですから、これが分からないということは相手が分からないということを意味します。つまり、送信不能です。LAN でも DHCP 環境なら IP アドレスが分からなくなってしまいますが、LAN にはブロードキャストという技が使えて、問題なく動作するのです。この辺の細かい話は端折ります。

不思議なことにこれを即時性の電子メールなどという解釈と記述を行うメディアがありますが、この考え方は電子メールの特徴を全然分かっていませんので、こんな解説にだまされないように気をつけましょう。

電子メールは書き手の書きたい時間に書き、読み手の読みたい時間に読むことができることが非常に大きな特徴で、これはよく言われるように電話のようにお互いの時間を束縛しないことに典型的に現れています。しかし、インスタントメッセージはお互いにやりとりしましょうサインを出して、リアルタイムにやりとりするものです。確かにパソコンに向かって文字で会話をするという表面だけを捉えればこの説明も成り立ちますが、その特徴はまったく異なるものです。

ところで最近のポップアップメッセージは絵や音も送れるようになってきているとか? あんまり興味がないので知らないんだけど、それってすでにあんまりお手軽じゃないような…。

IRC

Web チャットやポップアップメッセージの前に流行っていた伝統的なインターネット上のチャットです。正式には Internet Relay Chat。

チャットもポップアップメッセージと同様にリアルタイムにやりとりするものです。しかし大きな違いはポップアップメッセージが基本的に1対1のやりとりであることに対して、チャットは複数の人間が同時にお喋りできます。そしてそのやりとりの様子は1回1回別のウィンドウに出るのではなく、すべて同じウィンドウ上に「記録」されるので非常に会話の様子がつかみやすくなっています。ま、Web チャットや掲示板の経験があれば分かりやすいと思いますが。

IRC の動作は Web チャットなんかよりずっと軽いので Web 上のテレクラみたいなものに興味がない限りはこっちを使った方がいいんじゃないですかね(笑) しかも時代遅れなのかとも思っていたのですが、逆に新しいのか、最近、本が出てますね。

うーん、さすが技術評論社。

どこかで見たような図ですが、この仕掛けはメーリングリストにそっくりですね。

ストリーミング

最近ずいぶん多くなった、「ダウンロードしなくてもムービーが見れる」ってやつです。www.asashi.com の映画の予告編なんかを見ればすぐに分かると思います。もちろんムービーだけじゃなくて音だけでもそうですね。ラジオをインターネット上で聞けるのもこの技術。

またこれも、逆に言えばアクセスしないと見れない、聞けないわけでして、データの流出、海賊版の流布を防いだり、広告収入などへ結びつけやすいという特徴を持っています。データを手元に用意しておいていつでも見れるって環境の方が個人的には好きなんですが、インターネットの接続料がもっともっと安くなればそんなことは全然気にならなくなるかもしれませんね。

Peer to Peer

手ぇ抜きまくり。これも技術的には別に新しくないと思うんですが、最近になってあれこれ注目を浴びています。確かにクライアント/サーバという近代的なネットワークの構成そのものが変わるという意味では革新的ですけどね。

gopher

すいません(^^;

Archie

勉強不足です(^^;


参考