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なんでもかんでも添付しないの

もはやインターネットメールで常識となった添付ファイル。非常に便利なものですが、ここにも落とし穴はいくつか存在します。

てゆーかね、何百KBなんて画像を送ってよこすなよ!

添付ファイルのファイル名について少し補足しました。(2000.07.)

1. 相手は同じアプリケーションを持っているか?

当たり前の話ですが、添付ファイルというのは、メールの本文とは「別のファイル」です。その「別のファイル」をメールに張りつけるから添付ファイルと呼ぶ訳です。

メール本文はメールソフトを使っていれば誰でも読めるのですが、この「別のファイル」はメールソフトでは読めません。「別のファイル」は「別のファイル」を作ったソフトでないと開けないんです、原則的に。これは添付する「別のファイル」を作ったソフトを相手が持っていないと、相手はそのファイルを読めないことを意味しています。

もっとも、添付したその「別のファイル」がテキストファイルや GIF, JPEG など、様々なソフトがサポートしているメジャーな形式であれば作ったソフトと同じソフトを持っていなくても読めます。しかし、ワープロや表計算ソフトのファイルというのは、原則的にそのソフトに独自の形式なので、そのソフトでないと開けません。ということは、ファイルを添付する際には、相手がそのファイルを開けるかどうかを確認し、開けないようであれば、より汎用のフォーマットのファイルを添付する必要があります。

具体的には、ワープロ独自の形式を使わずにテキストファイルにする、テキストファイルではうまくイメージを伝えられないと思うのであれば PDF 形式や HTML 形式を使うようにします。表のデータも、CSV というテキストファイルにすればほぼ間違いなくすべての表計算ソフトなどで読み込めます。Excel のデータよりもはるかに汎用性が高い形式なのです。

さて、今あなたの添付しようとしているファイルはどんな形式ですか? それは相手の読める形式ですか? ちゃんと確認しましょう。Word なら誰でも読めるってわけではありませんよ。

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相手に使用しているアプリケーションを教えているか?

基本的に添付ファイルには「このファイルが何のソフトを使ったものなのか」という情報は含まれません。一部のソフトでは以下のように含むものもあるようですが。

--============_-1281968227==_D============
Content-Type: application/octet-stream; name="xxxxxxxx"
; x-mac-type="4357504A"
; x-mac-creator="43574B4A"
Content-Disposition: attachment; filename="xxxxxxxx"
Content-Transfer-Encoding: base64

これは EUDORA の Mac 版で作られた添付ファイルつきのメールの一部です。(ファイル名は伏せてありますが。)ここには x-mac-type と x-mac-creator という情報が含まれています。これを解釈できるソフトであれば、このファイルを特定のアプリケーションに関連付けることができます。ですが、解釈できないソフトであればこの情報は意味がありません。基本的に x- なんやらという情報は、あってもなくてもよいものですから、(これはインターネットな世界のお約束です)これを解釈するソフトを前提にする訳にはいきません。

要するに添付ファイルの種類、中身はメールソフトまかせではなく、メールの本文に自分で書くのが本来のやり方です。それがいちばん確実です。

「ちょっと待って Windows なら拡張子関連付けでアプリケーションは分かるじゃん」と思われた方、確かにそうです。でも Mac では拡張子には意味はありませんし、拡張子をつける習慣もありません。つまり、Windows の世界のルールで考えてはいけないのです。同様に Mac な世界の人も、拡張子を覚えろとは言いませんから、何のアプリケーションを使っているか、相手に明示するクセをつけてください。方法は簡単です。本文に書けばいいんです。

ちなみに、例に挙げたメールの一部は「クラリスワークスというソフトを使っています」という意味の暗号でした。私は、憶測でこのファイルを開きました(笑)。

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3. ルールを確認したか?

個人のやりとりで添付ファイルをよく使っていると、つい油断してしまいますが、メーリングリストでは添付ファイルは送っちゃだめ、ところも結構あります。自分たちで作ったメーリングリストでは自分たちでルールを作ればいいのですが、すでにあるメーリングリストにあとから参加するときは事前にルールを確認しましょう。添付できたとしてもその容量に制限がある場合もありますので。

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4. フォントは食い違う

メールの添付ファイルに限った話ではありませんが、別の人とファイルを交換しようとしたときにネックになるものの代表的な一つにフォントがあります。

どういうことかというと、フォントというのはファイルの中身ではなく、各マシンに固有のものなので、あるマシンで使えたフォントが別のマシンでは使えないということがよく起こります。普通の文書などではそんなに珍しいフォントを使わないと思うので Windows 同士では問題ないことも多いのですが、プリンタについてきたフォントとか、年賀状ソフトについてきたフォントなんかは、相手と同じにならない可能性が高いので、使わないようにした方がいいでしょう。

また、Mac と Windows ではまず同じフォントにはなりません。(Office2001:mac はわざわざ Windows の Office と同じフォントを積んでます。それでも完全に同じレイアウトは再現できないそうですが。)Windows 同士でもそうですが、このようにフォントが合わない場合は、だいたい同じフォントか、システム標準のフォントに置き換えられます。これが中身さえ伝わればいいファイルでなく、レイアウトなどの見た目に強く依存するファイルの場合は致命的です。

こういう場合は事前に共通のプラットフォームで共通のフォントをインストールして、使えるフォントの約束事を作るか、画像にしてしまう以外に対処の方法はありません。そうでない場合は、諦めましょう。最悪の場合は印刷したものを郵送すればいいわけですから。

もう少し悪あがきしたい人は「文書交換の作法」「PDF職人への道」を参照してください。

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5. 圧縮くらいしてください

インターネットへの接続環境は人によって様々です。14400 bps のモデムを使って電話回線経由で接続している人も、LAN で直結している環境の人もいます。また、一日に受け取るメールの数は人によって様々です。数百のメールを受け取る人だって実際にいます。また、メールを転送するサーバと呼ばれるものは、1日に何百万通というメールを処理していたりします。

相手やサーバへの負担は小さいに越したことはありません。よく言われることですが、チリも積もれば山となります。確かに自分の出したたった一通のメールの影響は小さいかもしれませんが、問題なのは風潮です。圧縮して小さくできるものは小さくして送るのが常識、という雰囲気ができれば、自分の受け取るメールの中でべらぼうにでかいメールは確実に減るでしょうし、変なメールのおかげでサーバがダウンしてしまうことは少なくなると思います。

インターネットは非常に今風のメディアです。それはデジタルだということではなく、参加者によって成り立っているというところこそ、です。自分が圧縮したファイルを添付することは、手間は増えますが、それは確実にどこかに影響が出ると思います。数百KB、数十KB のメールを送る前に、一度このサイズを減らせないか、と考えてみてください。

なお、圧縮に関する具体的な話については PC説教講座の「圧縮くらいできなくてどうする!」に譲ります。

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6. 日本語のファイル名は使っちゃだめ

意外と知られていないうえに私も下手すると忘れそうになるのですが、添付ファイルの名前には us-ascii 文字しか使えないことになっています。たまたま日本語のファイル名でやりとりできたとしても、それはお互いに使っているソフトがたまたま同じ方法で日本語を扱うようになっていて、たまたま通過したサーバがうまい具合に間違いを無視するようになってただけで、基本的には間違いです。結果よければすべてよしという考え方もあるとは思いますけど、確実なのはルールを守って日本語のファイル名を使わないことです。

下のリンクはわざわざルール違反に対応するためのソフトを開発してらっしゃる方のページです。

Mew Kanji Filename Decoding

ちょっと細かくて分かりにくいとは思いますが、要するに RFC という文書にみんなが守った方がいいルールが書かれてるけど、それに違反した拡張をこれこれこういう風にやってます、ということが書かれています。大変ですね。

と思ったら、どうも最近は non-us-ascii のファイル名を扱えるようにということで RFC が書かれているようです。この件については「添付ファイルにおける日本語のファイル名に関して」が詳しいです。はっきり言って私などは太刀打ちできません(^^;

ですが、要するに正しい方法で日本語のファイル名を扱っているソフトはほとんどない、ということですので、「たまたまうまくっている」という状況に違いはなさそうです。ということなので、確実にいこうと思ったら日本語は使わない、という姿勢は今のところ正しそうです。

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7. 添付の形式は MIME - Base64 が基本

細かい話になりますが、電子メールにファイルを添付する方法は、実は結構たくさんあります。要するにメールとして送信できるテキストデータになればいいと考えると、パソコン通信時代に培われた MS-DOS の世界でメジャーな ISH、usenet 時代に培われた UNIX の世界でメジャーな uuencode、初期 EUDORA 時代に培われた Macintosh の世界でメジャーな BinHex などです。しかし、これらは今となってはどれもローカルルールです。

現在、インターネットメールで「添付」と呼ばれるものは MIME(Multipurpose Internet Mail Extentions)という規格に則ったものを言います。MIME は添付だけを規定したものではありませんので、細かい話をし始めるとキリがありませんし、私も正確には分かりませんので、ここは流しましょう。

で、MIME という規格に則って、実際に様々なファイルをメールに貼りつけるために変換する方式としては Base64 という方式が一般的です。(実はほかにもある。)これはインターネット上の恐らくどのサーバでも扱うことができる基本的な 64 種類の文字の羅列に変換してしまう方式です。

利用者の我々としては理屈はともかく、MIME - Base64 による添付に対応したメールソフトを使い、この方式で送受信するように設定することを心がけるようにしましょう。今どきのソフトは設定できないソフトはそもそも添付ファイルを扱えないか、MIME - Base64 で正しく添付されているかのどちらかですので、安心してください。

ただし、Mac の世界で有名なフリーソフト、EUDORA Light 日本語版(俗に EUDORA-J と呼ばれるもの)は正しく添付ファイルを扱えませんし、スレッドも切りまくりなので、使わないようにしてください。EUDORA は今や完全版が無料で使えますので、そちらを使うようにしてください。

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8. Macintosh の場合は MIME Apple Double 形式で

Base64 というだけで済まないところが Macintosh のややこしいところです。Mac のファイルには純粋な中身だけでなく、システムの利用する情報も同時に含まれています。しかしこれは Mac 以外のプラットフォームでは無意味であるだけでなく有害です。そこで、プラットフォームに依存しないインターネットにファイルを流す場合はこの余計な情報を取り除く必要があります。それを実現するのが MIME Apple Double という設定です。これは、Mac 特有の情報と純粋なファイルの中身を二つに分けて添付してくれる方式です。Mac 以外のプラットフォームのユーザーは、何も気にせず二つ目のデータを取り出せばオーケーです。

さらに詳しい情報は

などを参照してください。

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参考

添付したらファイルが大きくなったような?

ファイルは添付すると大きくなります。およそ 1.5倍くらいにまで膨れ上がります。ということは 100KB の写真は添付すると 150KB 近くになってしまうということです。詳しくは「添付ファイルって大きくならない?」を参照してください。