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ブレをなくす

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写真の二大失敗、手ブレとピンぼけ。解釈次第では味にもなりますし、わざとそうすることもありますが、基本的には失敗ですよね。今回は手ブレの傾向と対策。

手ブレはシャッタースピード

手ブレというのは、シャッターを切っている瞬間に手を動かしてしまうから起きる現象です。しかし、まったく手を動かさないというのは人間には不可能です。多かれ少なかれ動きます。つまり、写真は多かれ少なかれブレてるんです。それが画面上に現われるかどうかがポイントです。

そのポイントはシャッタースピードです。シャッタースピードとは、シャッターが開いてから閉まるまでの時間のことですが、これが短ければ短いほど写る画像の動きを止めることができます。だから理屈からいけばシャッタースピードが速ければ速いほど手ブレはなくなります。

そのためには、どうしたらいいでしょうか?

明るさを十分確保する

まず、明るい場所で撮ることです。

フィルム、CCD には適切な光の量が決まっていて、それより多く光を当てすぎても、少ししか光を当てなくてもだめなんです。そのためにカメラは内部に取り込む光の量を絞りとシャッタースピードを使って調節します。で、明るくするためにはシャッタースピードを遅く、つまりシャッターを開いて光を当てる時間を長くします。このため手ブレが起きます。

ということはシャッタースピードを遅くしなくてもいいぐらいに十分に明るければそれでいいということになります。電気をつける、外に出る、日陰に入らない、など。

絞りを開ける

シャッタースピードや絞りを自分で設定できるカメラを使っているのなら絞りを開ける、という方法があります。ただし絞りを開けたら開けたで画面に見られる効果、ピントの合う範囲が変わりますので、その辺はもっと詳しい解説書などに譲ります。

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フラッシュを利用する

最も手っ取り早いのはフラッシュを使って光を補う方法でしょう。

(ここでいうフラッシュは一般にストロボ、ストロボ、と呼ばれるものですが、「ストロボ」はアメリカのストロボリサーチ社の商標なんだそうです。撮影用に瞬間的に発光させる装置全般のことを指すのであればエレクトリック・フラッシュと呼ぶのが正しいようです。ただし、ここではより短くフラッシュと呼ぶことにします。)

フラッシュを利用すると明るくなります。そりゃそうです。光を当ててるんだから。光を当てることで被写体を明るくし、それでシャッタースピードを稼ぎます。だからフラッシュを利用すると手ブレを防ぐことができます。

ただ、フラッシュを使えばなんでもかんでも明るく撮れるわけではありませんし、フラッシュを使うことによる失敗もまた数多くあります。その辺りのテクニックについてはまた別なところで書くことにしたいと思います。

焦点距離に気をつける

レンズの焦点距離そのものについてはここでは詳しく触れませんが、焦点距離が長ければ長いほど遠くのものを大きく撮ることができます。いわゆる「望遠」です。

望遠というのはただ遠くのものが大きく写るだけでなく、同時に写る範囲がどんどん狭くなっていくものでもあります。写る範囲が狭くなればなるほど、カメラが動いたときのファインダーの中での被写体のブレは大きくなります。

広角レンズの画角 望遠レンズの画角
広角レンズの場合望遠レンズの場合
広角レンズのファインダーでの見え方 望遠レンズのファインダーでの見え方

ブレが大きいということは、それだけ速いシャッタースピードでないと動きを 止められないわけですから、望遠で撮るときほど速いシャッタースピードが必要になります。もし、シャッタースピードを確保できなければできあがりの写真は手ブレ写真になります。

逆に言えば望遠ほどブレやすいわけですから、ブレそうなら望遠を使わずに自分が被写体に近づくなどの工夫が必要です。

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撮影フォームを大事に

何ごとも基本が大事。カメラの構え方、シャッターの切り方も実はいろいろ基本があります。

ちゃんとグリップする、脇は閉める

当たり前の話なんですけど、しっかりカメラを持っていなければそりゃブレます。でも、ちゃんと「しっかり持つ」にはどうしたらいいか分からないって人も案外いるのかもしれませんね。

まず、右手はカメラの形に合わせてできるだけ指、手のひら全部を使ってカメラを持ちます。ま、普通はしっかり持てるようにデザインされているので、自然に持てばしっかり持てるでしょう。

次に左手、左手は遊ばせておいちゃだめです。左手はちゃんとカメラを下から「支えるように」持ちます。左手でカメラを「つかむように」すると間違ってレンズに指が掛かったりしますし、安定感もイマイチですので、必ず下から支えるように持ちます。

こうすると自然に左腕が絞り込まれ、脇が閉まります。右腕もそうですが、脇が甘いとブレやすくなりますので、注意しましょう。(ただし、一眼レフを縦位置に構えるときは脇を閉める構えを薦めるテキストが少ないんですよね。なんででしょ。)

指はレリーズから離さない

シャッターの押し方も重要です。素人さん(て、私もプロではありませんが )はとかく指をボタンから離してしまいがちなのですが、指をボタンから離すとそれだけ動きが大きくなるし、大きな力が掛かりやすいのでブレやすくなるんです。指を離さず、静かにボタンを押し込んだ方がブレにくいです。

上の左手の持ち方も合わせて図にするとこのようになります。

誤った持ち方 正しい持ち方
誤った持ち方 正しい持ち方

また、全身の構え方は以下のようになります。

誤ったフォーム 正しいフォーム
誤ったフォーム 正しいフォーム

膝が曲がっていて重心が安定しないし、脇も甘いのでカメラがグラつきやすい。また、この持ち方では左手がレンズに掛かりやすい

左手がきちんとカメラを下から支えているし、脇もしまっている。足もしっかり身体を支えている。

一度どれくらいの力でシャッターが切れるのか、いろいろな強さで押して確認してみるとなおよいでしょう。

膝は曲げない

高さの調節のため、ある程度は仕方ないのですが、膝は伸びていた方が安定します。ま、要するに中途半端な姿勢はよくないということです。同じように背中も丸めるよりピシっと伸ばした方が安定します。

手ブレ手ブレと言いますが、実際には「身体全体」で「カメラをブラし」ているんです。(だからカメラブレと呼ぶこともあります。)手だけに気をつけていてもダメなんですよね。

体重の掛け方は人それぞれかも

微妙なのは足への体重の掛け方です。

両足を均等に開いて、体の中心線に重心を持ってくる人もいますが、私は実は片足を一脚のように固定して、もう片方の足を補助にしながら片足に体重を掛けるやり方の方が好きなんですよね。ま、なんにせよ中途半端に膝を曲げたりしないという点では一緒なんですが。

いずれにしても、撮影フォームはこれが絶対!ということはありません。ただ、一般にこの方がブレにくいというだけです。こうでなきゃ写真が撮れないわけじゃないし、フォームに気を撮られるよりは、例えブレてもチャンスにシャッターを切ることの方が大事ですから。

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三脚/一脚を使う

人間が自分でカメラを支えるより、それ専門の道具を使った方が安定します。

三脚はみなさんご存知でしょう。三つ足があって、それだけで自立できる機材です。この上にカメラを固定すれば、何時間だってカメラをブラさずに撮影し続けることができます。

三脚は、持ち運びを考えなければ大きくて重いほうが安定します。軽いと少し強い風が吹いただけで揺れたりします。三脚そのものが重いと持ち運びが大変なので、「軽い三脚に撮影現場でおもりをつける」という方法もあります。そ の辺の石をおもりに使ったり、他の撮影機材をおもりに使ったりします。

一脚ってのは要するに棒です。棒なのでそれだけでは安定しません。これは、人間がカメラを持つのを支えるための道具です。棒の上にカメラを載せ、そこにぐっと体重を掛けることで安定させます。

一脚は何時間もの撮影には使えませんが、持ち運びも楽ですし、これだけで格段に安定性が向上しますので撮影の小道具として用意しておくといいでしょう。

三脚も一脚も、カメラの底のネジ穴にねじ込んで使いますが、このネジ穴は統一されていますので、どんなカメラでもどんな三脚にでも合います。ビデオカメラ用でも使えます。ビデオカメラ用はスチルカメラ(普通の静止画用のカメラ)用と違って縦横の向きを変えたりできない(これはすごく痛い)し、パン棒の位置が反対だったりしますが、三脚として使うのにはほとんど支障ありません。

しゃがんで撮影するときんは柄を外した傘でも代用できます。柄の部分のネジはちょうどカメラの底のネジ穴と一致するように設計されています。(すべてではないかもしれませんが)

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