JPEG画像は「品質」を設定することでファイルサイズを変更することができます。WWW, メールを通じて画像を転送することを考える場合、この「品質」の設定はなかなか重要です。
なお、具体的な「品質」の設定方法は各ソフトによって異なりますので、ご自身でお使いのソフトのマニュアルなどを参照してください。たいていはファイルを保存するときに注意してダイアログを見ていれば設定できるようになっています。
また、用語の使い方も違うかもしれません。多くの Windows 用フリーソフトでは「品質」という言葉を使い、その設定は 0 から 100 までですが、Photoshop では画質という言葉を使い、数値は 0 から 12 までです。
特に初心者の利用を考えた最近のソフトでは、品質の設定を意図的に隠してあったり、他のソフトとはまったく異なる言葉を割り当てたりしているので注意してください。(実際、PhotoDeluxe は隠してありました。)
JPEG という画像形式では圧縮率を変更して保存することができます。この JPEG の圧縮率はスピードと圧縮率のトレードオフではなく、品質と圧縮率のトレードオフになっています。要するに、JPEG でファイルを小さくしようと思ったらそれだけ画質が落ちます。ということは、「どのように見せたいか」を考え、適切に「品質」を設定する必要があります。
JPEG はもともと写真向きの画像形式なので、この品質も幅広く利用することができます。
品質 100 | 品質 70 | 品質 30 |
16,653 bytes | 8,653 bytes | 5,136 bytes |
それぞれの写真を見比べてみると、まず、さすがに品質 30 は劣化が激しいですね。おじいちゃん(のはず)の顔がつぶれてしまっています。品質 70 は 100 と見比べない限りはあまり劣化が分からない程度です。さすがに見比べるといろんなものの周りににじみが見えますが、これだけの品質でファイルサイズが半分くらいにまで小さくなっていることを考えると、かなりの効率と言えます。
残念ながら JPEG はイラストには向かないのですが、試しにどれくらい絵が変わるのかを見てみましょう。なお、イラストは R研究所と牛飼いさんとこからいただきました。ありがとうございます。
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イラストの場合は写真と違って、元絵がなくても品質 70 でもすでに劣化がちょっと気になりますね。全体に輪郭や色がぼやけ、モアレと呼ばれる圧縮ノイズが出ています。特にうさぎの方は顔の部分の劣化が激しいので、ずいぶん印象が変わってしまいます。
やはりイラストの場合はほとんど圧縮を行わない、品質 100 で保存しないとちょっと難しいですね。ただそうすると、見て分かる通り、ファイルサイズが他の品質に比べて極端に大きくなってしまいます。上の品質 70 の写真より、面積としての大きさはずっと小さいのにファイルサイズは大きくなってしまいます。参考までにもともとの猫の GIF 画像のサイズは 897 バイトしかないものです。同じ品質を維持するために JPEG では10倍以上のサイズになってしまいます。やはり本当に JPEG はイラストには向かないんですね。
圧縮には大きく分けて可逆圧縮と不可逆圧縮があります。例えばインストールする前のプログラムなどは元に戻せるように可逆圧縮されています。でもJPEG画像は一度「品質」の設定を誤って画像を汚くしてしまったら、もう元には戻せません。これを不可逆圧縮と言います。不可逆圧縮で最近有名なのは mp3 や wma などの音楽データの圧縮ですね。これも音質の劣化は避けられません。
可逆、不可逆の圧縮の両方に圧縮率の変更を行うことができるものがあります。圧縮率を高くすればするほどファイルサイズは小さくなりますが、そのためには犠牲にしなければいけないものがあります。
可逆圧縮の場合は、圧縮率を高めるためにより複雑な計算を必要とします。つまり、それだけ時間が掛かりますので、スピードが犠牲になります。不可逆圧縮ではもっとシンプルで、画質が犠牲になります。もともと不可逆圧縮ではファイルサイズが小さくなるように適当に情報を間引いていますが、この間引き方を大胆にすることで、より圧縮率を高くしているのです。