旅行に限らず、集合写真を撮る機会は意外にあるもんです。
一口に集合写真と言っても、昔の学級写真のような人数から4〜5人くらいの仲間うちの写真まで様々です。人数が少ないうちならともかく、あまり多くなるといろいろ大変です。
少人数の集合写真 | 大人数の集合写真 |
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まず人数が多くなればなるほど、一人一人の人間は画面の中で小さくなります。小さくなるということはそれだけ一人辺りの情報量は少なくなります。分かりやすく言えば、人数が多すぎる集合写真は誰が誰だか分からなくなっていくのです。
それでも高い解像度があればなんとかなります。卒業写真なんかによくある学年全体の、百人単位の集合写真というやつがありますが、あのときプロは普通のカメラで使っているよりも大きなフィルムを使っています。
右のような形の、普通のフィルムのように脇に穴の開いていないフィルムです。短辺が 6cm あります。普通のフィルムの短辺が 24mm ですから、実に2.5倍です。プロのカメラはダテにでかいわけじゃないんですよ。
同じように、100万画素のデジカメよりも300万画素のデジカメの方がより大勢の集合写真に対応できます。さすがに数十人というレベルになるとつらいですが、300万画素あれば十数人までならなんとか対応できるでしょう。普通のフィルムでもその程度が限界だと思います。
しかしみんながみんな、高解像度なカメラを用意できるわけではありません。高解像度のカメラを用意できない場合は、収納能力を動員します。
横一列に並んだ、余白の多い写真 | 二列に並んだ、余白の少ない写真 |
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上の写真は両方とも7人の集合写真です。しかし人物の写る大きさがまったく違います。左は横一列に並んだ写真、右は4人と3人の二列に並んだ写真です。右の方が人物が大きく写っていますが、これは二列に並んだ方が写真の枠を有効に使っているからです。
写真の縦横のサイズは使うフィルム、画素数などに応じて決まっています。3つのフォーマットが選べる APS と言えど、この枠は伸縮自在ではありません。フィルムの枠は有効に使いましょう。できるだけ人物を大きく撮った方がそれだけ鮮明に写し撮ることができるのです。
枠を有効に使うということで、一列に並んでパノラマで撮るという方法もありますが、これは最悪ですのでやめましょう。一時はやったパノラマ撮影機能ですが、これは普通のフィルムの上下をカットして半分にし、それを大きく引き伸ばしただけなので、かえって画質は悪くなります。プリントのサイズが大きいだけで、もともとの情報量は減っているのです。
二列以上に並ぶ集合写真では可能な限り、撮影者の方が高い位置で撮りましょう。
被写体と同じ高さから 撮っているところ |
被写体よりも高いところから 撮っているところ |
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図のように、撮影者が普通の高さで撮影した場合、最前列の人から後ろの人までの距離がそのままカメラからの距離の違いになります。しかし上から見下ろす角度で撮影すると、最後列の人も最前列の人も、カメラからの距離は同じになりますし、後ろの列の人が前の列の人の影に隠れにくくなるのです。だから、高いところから撮るようにしましょう。
ところで距離が同じになると何が嬉しいんでしょう。
まずピンぼけが減ります。集合写真は写っている人の顔がはっきり見えることが基本ですから、ピンぼけは最悪です。カメラから被写体までの距離にばらつきがなければ、どこにピントが合っても全体に合うということになります。これはオートフォーカスカメラで撮っているときにはものすごく助かります。フォーカスロックなどの技を使ったり被写界深度を意識する必要がなくなりますから。
次に後ろの列の人が小さく写ることがなくなります。写真というのは近くのものは大きく写り、遠くのものは小さく写ります。カメラからの距離に開きがあれば、当然後ろの列の人は前の列の人より小さく写ります。しかし、距離が同じであればこのような大きさの違いは生まれません。前の列の人だけでなく、後ろの列の人の顔も、はっきり分かるように撮ってあげたいものです。
しかし実際には、カメラから被写体までの距離を同じにするためには、かなり高い角度から撮る必要がありますが、それでもカメラは高い位置にあるに越したことはないのです。高い位置から撮れば、後ろの列の人が前の列の人に隠れてしまうことも少なくなります。集合写真を撮る場合はカッコつけてしゃがみこんだりしないで、その辺にあるものを何でも使ってとにかく高い位置から撮るようにしましょう。
私は一度業務用の傘立ての上に立って撮影したことがあります。さすがにかなり不安定でしたが(^^;