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ピンボケをなくす

Table of Contents

  • ピントはたいてい真中にしか合わない
  • 「半押し」とフォーカスロック
  • ピントの厳密さを知る
  • ハマったボケは美しい

手ブレとともに失敗写真の代名詞、ピンぼけ。なんでボケるの? オートフォーカスなんでしょ?

ピントはたいてい真中にしか合わない

一眼レフやライカ式の本物のレンジファインダーカメラを使っていない限り、写真を撮る前にピントが合っているかどうかを確認する方法は、実はありません。(デジカメの液晶では細かいピントの位置なんてちっとも分かりません。)カメラが「ピントが合ったよ」と教えてくれるのを信じるしかないのです。

しかし、カメラの「合ったよ」と人間の感覚がずれている場合があります。あれ、ここに合わせたかったんじゃないのに、ということがあります。代表的なのは「中抜け」ですね。

正しくピントが合っている写真 ピントが外れている写真
ピンとが合っている写真 ピンぼけ写真

こんな風に、本来ピントの合ってほしい人物と人物の間を通り抜けて、奥の背景にピントが合ってしまうことです。

ここでは分かりやすく真中に丸を描きましたが、こんな風にカメラというのは普通、真中にしかピントが合わないようになっています。ということは、真中に写したいものがない限り、基本的にはピンぼけになります。

「半押し」とフォーカスロック

そこでフォーカスロックという機能を使います。

まず、オートフォーカスでピントを合わせるにはどうしたらいいでしょう? そうです。「半押し」です。オートフォーカスカメラのシャッターは実は二つの機能を持っています。一つがピントと露出の計測、もう一つが写真を撮ることです。

この二つの機能を一つのボタンで実現するために、カメラのシャッターは二段階で押し込むようになっています。まず軽く押してちょっとした抵抗を感じるところが半押し、そこからぐっと押し込むのがレリーズ、つまりシャッターを切るということです。

大事なのは手ブレのところでも触れていますが、必要以上に強い力を掛けない、指を離さない、ということです。半押しして指を離したら意味がないのです。半押しの状態のまま待って、そのあとぐっと押し込まないといけません。

で、この半押しを利用してピントを自分の好きなところに合わせる技がフォーカスロックです。

オートフォーカスのカメラは、ピントが合ったときに「ピピッ」という音やファインダー付近の LED の点灯でピントが合ったことを知らせてくれます。(詳しくはお使いのカメラの説明書をご覧ください。)その状態のままカメラの向きを変えても、さっき合わせた距離にピントが合い続けてくれるんです。これがフォーカス(ピント)をロックする(固定する)ということです。

具体的な使い方は、先ほどの例で言うと、まずピントを合わせたい被写体を真中にもってきて半押し、その状態でロックしたままカメラの向きを調節し、写真にしたい構図が決まったらそのままシャッターボタンを押し込み、シャッターを切る、という手順になります。

まずピントを合わせたいところを真中に持ってきて半押し 半押ししたままカメラの向きを変える
1

まずピントを合わせたいところを真中に持ってきて半押し

2

半押ししたままカメラの向きを変えてシャッターを切る

(半押しが難しいという人のために、一部の機種ではピント合わせのボタンとシャッターのボタンが独立しています。残念ながら高級一眼レフにしかそうした機能はついていないようですが。また、本当に厳密な意味ではフォーカスロックはわずかにピントがずれます。実は、本当に厳密なピント合わせは人間の手と目でやった方がいい場合もあるんです。これはコサイン誤差と呼ばれるものです。興味のある方は調べてみてください。)

ピントの厳密さを知る

実はピンぼけの分かりやすい場合と分かりにくい場合があります。裏技的ではありますが、ピンぼけの分かりにくい条件を知っていれば、ピンぼけ写真を減らすこともできます。

厳密なピント合わせが求められる三大要素は

です。

望遠レンズは遠くのものを大きく写すことができますが、距離が縮まっているので、逆にピントのずれは増幅されます。つまり、望遠レンズを使わない方がピントのずれは分かりにくくなります。

上と似ていますが、被写体が近い方がピントのずれは大きくなります。要するに、大きく撮ろうとすればするほどピントは厳密になるということですね。もちろん大きく撮らないと顔の表情などは分からないのですが、そこまで細かく分からなくてもいいという場合は、適度に距離を撮った方がピンぼけは少なくなります。

もう一つはレンズ、フィルムが大きくなればなるほどピントは厳密になります。デジカメやコンパクトカメラしか使わない人にはあまり関係ないかもしれませんが、一応挙げておきます。

ハマったボケは美しい

以上、ピンぼけ撃退法(笑)を書いてきましたが、ボケは別に悪くないんです。ボケるべきところがボケているのはむしろ美しいんです。全部にピントが合っている必要はありません。大事なのはボケないことではなく、狙ったところにピントが合っているかどうかです。