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クラリスワークスで楽々文書作成

アンチ MS Office な私はワープロにはクラリスワークスを使っていま、した。クラリスワークスと言えば iMac の付属品(現在は AppleWorks 6)。もはや扱いは入門者用って感じですが、入門者に使いやすいってことは基本的に使いやすいんですよ。クラリス + 非 OutLook なら世の中のメールウィルスにはまったく関係なく過ごすことができますし、すごくいいと思うんですね。というわけで今回は説教というよりは初心者雑誌によくある安易なヨイショ記事みたいになってしまってます(^^;

あなたはワープロを選べる立場ですか? いや、実は最初にこれが大きな問題でして、小さな組織では自分専用のパソコンなんかないでしょうし、大きな組織では使うシステムが最初から高度に完成してしまっていて、素人(システム管理とかの部署じゃない人)には手が出せないようなことになっているところも多いんです。

また、その大小に関わらず、組織におけるコンピューティングで最も重要なのはデータの共有。そこで自分だけが特異なソフトを使うことはなかなかできるものではありません。

こうした諸々の事情を乗り越えて、それでも私は自分でワープロを選べる、もしくはとにかく自分だけで使うから余計なことを考えなくていい、というあなた、続きをどうぞ。

クラリスはチープな統合パッケージソフトだ

かつては、と言ってもずいぶん古い話ですが、一太郎、Lotus1-2-3、など、単体のソフトをユーザーが組み合わせて使うのが当たり前でした。そしてまた1本1本が高かった! 一太郎1本で5万くらい? それ考えたら安くなった Illustlator とか、破格ですよね、ほんとに。

ま、それはともかく、今はどこへ行っても Office, Office。統合パッケージ花盛り。MS Office, Lotus SuperOffice, OASYS Office, 一太郎 Office, Corel Office, など。しかしね。なんかどれもあとからソフトを組み合わせただけのように見えるんですね。使い勝手が実はバラバラだったり、組み合わせてるソフトの数が多すぎたりね。しかも1本1本のソフトを別々にインストールできるから、同じ Office を使っていてもデータ交換が完璧には行えないでしょ? もちろん値段の違いとかディスクスペースの節約とかいろんな意味があるとは思うけど、それって「いたずらにソフトがでかくなったから」であって、そうでなければそんな小難しいなんとかエディションなんて作る必要すらないわけですわ。(Windows 2000 の Edition, Office 2000 の Edition, Visual Studio の Edition、全部分かる人、あなたおかしいです。Microsoft の営業になりましょう。)

その点クラリスワークスは真の統合パッケージ。「クラリスワークス」という1本のソフトの中にワープロ、ドロー、ペイント、表計算、データベース、通信の機能が「詰まって」います。ま、通信機能はいまどき使わないとしても、マスターページとスライドショーを駆使してプレゼンだってできちゃう超スグレモノなソフトなんです。

それでいて破格に安い。仮にこれだけの数の機能が入っている MS Office を想像してみましょう。……。いやになっちゃいましたね? 知り合いの学生に買わせてアカデミックパックを入手したりしない限り、一般の値段はけっこういやになっちゃいます。(機能対価格比で言えば Lotus Super Office が最右翼かも。)

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クラリスは数少ないクロスプラットフォーム製品だ

そしてクラリスなら Mac と Win の間で手軽にデータをやりとりできます。一太郎 Office, OASYS Office, Lotus SuperOffice など、MS Office を除く他のすべての Office は Windows 依存です。でも Mac に Office 入れて…なんて想像しただけでいやですね。いや、いいんですよ。Windows 以外見えていない人には。でも軽く浮気してみようかな、と思ったときにもクラリスならオッケー。知り合いの iMac ユーザーにこのデータを渡したいんだけど、どうしよう、とか、ありません? 人にパソコン教えなきゃいけないあなた、わざわざいくつもソフト覚えるのいやでしょ? クラリスで一本化しませんか?

同じ理由で私はグラフィックソフトは Adobe 製品や Macromedia 製品をすすめます。PaintShopPro はいくら安くて使い勝手がよくても Windows 依存だからいやなんです。(最初のチープってのからは完全に外れるので実際にはフリーソフトを薦めることが多いんですが(^^;)だって、やっぱお絵かきのときは Mac のインターフェイスの方が使いやすいもん。マルチタスクな処理にはあんまり向かないけど、それだけに集中するときは、Mac はかなりよくできてると思う。あと、マウスの感触がいい。ProMouse は光学式なのでイヤだけど。

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ウリはシンプルさとドロー

ドローってのは単なるお絵描きじゃなくて、オブジェクトと呼ばれる部品を縦横、前後関係自由自在に配置できるという点が特徴です。オブジェクトには丸や四角などの単純な図形、それらを組み合わせた複雑な図形、文字、クリップアート、などが使えます。詳しくは「ドローを使いこなせ!」を参照してください。

なんでぇ、そんなの当たり前じゃん、と思われた方、ちっちっちっ。これがワープロ、表計算、データベースなどにまったく共通して使えるとしたら? もうこうなると大抵の Office Suite が失格です。だって別々なソフトだもん。

ん? それも当たり前? ほほう、少しは MS Office を勉強しているね。でもその軽さと使いやすさはどうかな?

下はクラリスと Word のスクリーンショットです。どちらも 800*600 の画面で撮ったものを 60% に縮小したものです。

クラリスワークス(ワープロ)の起動後の画面
クラリスワークス(ワープロ)の起動後の画面
Word の起動後の画面
Word の起動後の画面

Word の画面、狭いですよね。もちろん調整次第でもっと広くもできますけど。でも最初っからもう少し気を使ってほしくないですか? いちばん使う機能はどれなのか、ちゃんと絞ってほしいです。

その点クラリスの画面はいたってシンプル。広々と、本来最も大切にしなきゃいけない「紙」の部分が大きく取られていますし、ツールバーも全然ごちゃごちゃしてません。

確かに Word のツールバーには、カーソル位置のフォントとそのサイズが表示されているので、一目で分かって便利です。ルーラー部分には、余白を動的に変えられるなどの強力な機能が入っています。機能的には評価できます。

また、ポイントは図形関係のツールバーです。図形関係だけ取りだしたものが下の2つです。

クラリスのツールバー Word のツールバー
クラリスのツールバー Word のツールバー

これだけ見ればその違いは分かりませんが、問題はこの位置です。クラリスは左、Word は下にあります。(もう一度起動時の画面に戻ってみてください。)Windows のタスクバーもそうなんですけど、この下から上へマウスを動かす操作というのははっきり言ってすごく使いにくいです。それに比べて、(右利き用ではありますが、)左上から右下への動きは非常に自然です。文字の書き順を思い浮かべてもらえばすぐに分かると思います。

もちろん今の MS Office のツールバーはすべてその位置を自由に変更できる設計になっていますが、しかしこのツールバーに文字を入れてしまったのが大問題。試しにクラリスと同じ位置に Word のツールバーを動かしてみてください。文字がすべて縦に並ぶのですごく場所を取るんですね。これを防ぐには、上の画像と同じようにこのツールバーだけ独立させる以外にありません。フローティングツールバーという機構そのものは確かにユーザーに自由を与えますが、その中身の設計に完全に失敗しています。

逆にクラリスはツールバーそのものを移動させることはできませんが、このように

普通は線の太さを選択するけど、余白の部分をドラッグすると

こんな風に独立したパレットにすることができる。フローティングツールバーと違って元のツールバーはなくならない。

よく使うツールバーの中の項目を「取り出す」ことができます。

また、ドローにおいて重要なのはそのグリッドのサイズです。クラリスのドローはオブジェクトを移動するときの単位が、実に使い勝手のよいサイズになっています。細かすぎず粗すぎないその設定は、実際に使ってもらわないと分からないのですが、このおかげで非常に素早く、思ったとおりのレイアウトを実現することができます。

そしてグループ化。個人的に、ドローを使いこなすのに最も大切なことはグループ化を使いこなせるか否かに掛かっていると考えています。ドローにおいては、複雑な図形もすべては簡単な図形の組み合わせで実現して行くからです。しかし、MS Office のドローではグループ化にショートカットキーが割り当てられていません。これは作業効率への重大な支障となります。

もちろんシンプルさとドローがウリとは言え、きちんとワープロにはワープロに求められる機能が、表計算には表計算に求められる機能が充実しています。Word のような「自動」で「高機能」なものではありませんがスペルチェックだってできますし、セクションごとに段組を分け、段落ごとに行間、インデントの変更など、およそワープロとして必要な機能は十分備えています。表計算も同様です。WYSIWYG じゃないのは Word だって同じだしね。

どーです。魅力的な製品でしょ?

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バージョンアップの不安がない

そして、これは消極的なおすすめ理由ですが、現在「クラリス」としてのバージョンアップは止まっています。つまり、最新版を追いかける必要がないんです。最新版を追いかけてもたいした負担じゃないんですけど、それすら必要ない。いやー、素晴らしい。安心して使い始められます。これが MS 製品だったらどうでしょう。常にシステムのバージョンを最新に上げるように要求してきます。で、そのためだけにばかでかい IE を入れなきゃならない。変ですね。IE はブラウザですよね。なんでそんなあほなことしなきゃいけないんでしょう。ユーザーに負担掛けすぎです。

(IE は内部的には単なるガワで、ほんとはブラウザじゃないんだよー、と反論できるあなた。あなたは正しいけど、でも製品のカバー範囲をいたずらに分かりにくくしているのはよくないっしょ。OS の機能をアップデートするなら、きちんと OS に対するアップデートであることを分かるようにしてほしい。そして OS のバージョンを明らかにしてほしい。シェルのバージョンでもライブラリのバージョンでも構わない。それが分かるように、明示してほしい。それが正しいバージョンアップでしょ。)

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あとがき

ついに、恐るべき事態が発生しました。クラリスワークスは Windows 2000 では挙動がおかしいらしいのです。私自身は Windows 2000 を使っていないのでよく分からないのですが、これは非常にやばい事態です。ひょっとすると me でもうまく動かないかもしれません。ひぇー。

ドローの性能を見極めないうちはアレですが、今後は Kacis Writer でいった方がいいかもなぁ…。クラリスワークスのデータも活かせるみたいだし…。ドローのデータも EPS とかで統一しておいた方が安心だろうか…。でも EPS を扱えるソフトだとこだわっちゃうから余計に時間掛かるんだよなぁ〜。


Windows 2000 でもクラリスワークスは使えました。しかしファイル保存のダイアログが旧タイプになってしまう、描画でゴミが残ってしまう場合がある、などの気持ちよくない動きが随所にあります。


現在(2003年以降)ほとんどワープロは使っていません。Kacis Writer Free を経て Wiki + CSS でほとんど事足りています。必要な場合は OOo を使っていますが、とても使いやすいとは思えないので、どうしても必要なときしか使っていません。ドローについてはインスピ → Illustrator がいちばん多いかなぁ。